鈴木 伸吾
新富町観光協会・元職員
「自分主導ではなく、お客様の目線に立てるようになりました。」
鈴木さんは、こゆ財団のベースとなった新富町観光協会の元職員。立ち上げと同時にこゆ財団のスタッフとなり、「こゆ朝市」の運営を担当している。
「こゆ朝市」は、2017年5月の第一回目から新富町役場文化会館前の広場で行ってきたが、11月からは町のメインストリート、るぴーモール虹ヶ丘商店街に場所を移動して開催するようになった。そこには、「シャッター通りになってきた商店街にもう一度活気を取り戻したい」というこゆ財団の思いがある。
ゆくゆくは文化会館から商店街までずらりと店舗が並ぶような朝市にしていきたい。それには100店舗ほど集めないといけないのですが、そこに少しでも近づければと思っています。
会場を商店街に移して開催することに、商店街の店の人たちも前向きで、「いよいよ始まるんだね」「じゃあ私も何か出そうかな」という期待や喜びの声が多かった。鈴木さんは、想像以上に町の人たちが協力的だったことに心底ホッとしたという。
また出店している飲食店や農家からは、「こゆ財団がスタートした今こそ、自分たちも動くべき」という前向きな声を耳にするようになった。
商店街や農家のみなさんは『何かやりたい』という思いはあったんですが、これまで先頭に立って動く人がいなかったんです。こゆ財団のような町の人たちと一緒に動ける団体ができて、一歩を踏み出したことを、喜んでくれている方は多いと思います。
鈴木さんは「町のイベントに関わりたい」という思いから観光協会に就職したものの、当時は「何かしらイベントをすれば人が集まるだろう」という単純な考えしか持っていなかった。しかし、「こゆ朝市」の運営に携わる中で、「実際はそんなに甘い世界ではない」と考え方がまったく変わっていった。
ある時、上司に『自分がお客さんの立場だったらどう?』と言われたのが一番大きな気づきでした。これまでは、そこに考えが行き着かなかったので。自分たちが主導ではなく、まずはお客さんの目線に立てるようになったことが、自分の人生においても、大きな出来事になりました。いい経験をさせてもらっています。
お客さんに満足してもらうために、鈴木さんは、品ぞろえ、安さ、新鮮さを第一に考えながら、より多くの商品や出店者を集めようと動いている。
まずは出店者と商品をもっと増やして、多くの農家さんにお店に立ってもらい、お客さんと気軽に会話をして、笑顔が生まれる。そんな町にしていきたいし、毎月第三日曜日はそんな日でありたい。商店街から国道を挟んで文化会館まで、たくさんのお店が並んで、『あそこに行ったらいろんなものがある』『第三日曜日は新富町に行こう』と言ってもらえるようになることが一番の目標です。
鈴木さんがその先に見ているのは、「若者が残りたい」と思えるような町。自分が高校卒業後、町から出てしまったからこそ、ここに残るという選択肢を当たり前のものにしたいー。こゆ財団で奮闘しながら、そうなる日をひそかに夢見ている。