豪華講師陣による全5回講座のほか、宮崎県新富町を訪れてフィールドワークも行い、最終回では、受講生によるビジネスプランのプレゼンテーションを実施します。東京など都市部在住で地域に興味関心がある人、UIJターンを考えている人、新しい働き方を模索している人を対象とした、起業家精神の醸成を目的とする人材育成プログラム「ローカルシフトアカデミー」が2020年9月から開講し、その第2回目となる講座が9月24日(木)に開催されました。
今回は自分の好きなことを体験としてシェアできるサービス「TABICA(たびか)」のファウンダーである細川氏を講師に迎え、「ビジネス基礎」をテーマにご自身の生い立ち、生まれ故郷である京都府南丹市日吉町、そして「TABICA」の誕生秘話や、立ち上げ当時のエピソードをお話いただきました。
細川哲星氏(株式会社ガイアックス TABICA事業部 地方創生室長)
自分の好きなことを体験としてシェアできるサービス「TABICA」
体験を企画・開催する「ホスト」と参加する側である「ゲスト」が繋がるCtoCプラットフォームビジネスを展開しています。
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第2講座(ビジネス基礎)
日 時:2020年9月24日(木)19:30~21:30
講 師:細川哲星氏(ガイアックスTABICA事業部地方創生室長)
地域の中にある文化や体験をビジネスに変えていく
細川氏は京都市南丹市日吉町は胡麻駅周辺の村に生まれました。夏には、流しそうめんを地域の子どもから大人、おじいちゃんおばあちゃんが集ってみんなで楽しみ、地域のお祭り事などが盛んな村でした。
そんな生まれ故郷は現在人口130人、平均年齢は67歳であり、さらに10年後に村の人口は70人にまで減少するという統計が出ています。
現在では、ほとんど地域のお祭りが無くなっている状態だけれども何とかして地域にある文化や体験を残すことはできないだろうか。
そんな想いを生まれ故郷に抱いていたようです。後に細川氏の想いが原動力となり、大きな一歩を踏み出すことになります。
何をやりたいか分からず悩んでいた学生時代
イベントサークルを2つ立ち上げるなどアクティブに行動を起こすものの、自分は何をやりたいのか分からずに悩んでいた学生時代。
ひたすら路上で人に声をかけて1,000人の夢を聞き応援するという「夢×スケッチブック」プロジェクトに取り組み、人の夢を聞き、応援する活動をはじめました。その中でギャルや、経営者などこれまで出逢うことのなかった人たちと出逢い、人の気持ちを聞くことが楽しいと感じるようになり、赤の他人とつながりを創れたらいいなと考えるきっかけになりました。自身の価値観が広がり、人とのつながりに価値を感じる、という経験をしました。
半年間の修行、出家を経て感じたこと
毎朝3時半に起き、ひたすら座禅と掃除をする生活を半年間していました。その中で、
その後の生き方に大きな影響がありました。
「全くお金をもらっていないのに、食べ物も質素な修行をしているにもかかわらず、その期間が面白く、楽しかった。
ストイックな生活を送る経験を経て、なにやっても生きていけるな、という感覚があって
逆に生きているなら自分がやりたいことだったり、もしかしたら社会のためになるようなことにチャレンジしないといけないんだな、と思うようになった。」
出家の経験を経て、自分の中にこんな想いが芽生えました。
社会にインパクトを残すような、それでいて、たくさんの人があたたかい気持ちになるようなことをやりたいと思うように。
自分のほんとにやりたいことをやりたいな、というマインドセットが出来たと当時を振り返ります。プラットフォームビジネス、CtoCといわれる今後のトレンドになる領域に第一の人生をかけたいと思い動き出します。
ビジネスをかたちにするまで
入社2年目の時に、株式会社ガイアックス社内でのビジネスプランコンテストに事業発表します。故郷である限界集落でひとが減っていくその現実に向き合い、なんとかしたいという想いのもと「TABICA」というサービスが生まれました。
地域の人が地域の中だけでなく外の人も巻き込み、時には一緒になって創りながら
地域に根づく文化や、体験をプラットフォームを通して販売をしていくことで、ビジネスに変えていく。細川氏の生まれ故郷のような限界集落で、かつて盛んであったお祭り事などを残ることが出来ないだろうか。「TABICA」の根源にはその想いがありました。
立ち上げ当初は、細川氏の友人・知人に声をかけ、なんとかかたちにすべく、奔走する日々を送りました。
「2度、あきらめようと思った。」
20代前半と若かったが故に自分で何とかしよう、助けを必要としてもどう表現したらいいか分からず、悩んだこともあったようです。
けれども、あきらめることなく続けてこられた背景には、社内外からの応援や周囲の助けがあったようです。
「自分のやりたいことをやるということは、自分発信でみんなを巻き込んでなにかをする、それが面白い。そういうふうに生きていけたらと思うように。
自分の生業、気持ち想いで社内の役に立ちたいという思いが強くなり「起業」という生き方(選択)に至った。」
そう細川氏は生き生きとした表情で熱量高く、お話しました。
地域の「文化や体験」をビジネスに変えていく、その想いで限界集落にフォーカスしながらサービスをスタートし、サービス開始1年目は、ほぼ友人たちという状態でなんとか乗り切ってきたと細川氏は当時を振り返ります。
そして、現在6年目を迎える「TABICA」は、47都道府県で開催され、体験を提供している方々は約1万3千人、リアルに加え新たにオンラインでの体験も販売できるようになり、30自治体とも連携、企業とのタイアップも実現するほどに大きく成長を遂げています。
人が欲しがるサービスをその人に届けるのがビジネスだ
「TABICA」事業の立ち上げ段階では、友人たちに対して「なぜこのサービスをしたいのか」、「この事業を通して作りたい社会」など夢を語り、協力を得ることが出来たそうです。自分が創りたいとおもったコンテンツを周囲に伝えることで、サービスが立ち上がった当初は、サービスを売っていました。
ファーストステップは軽い気持ちで
「TABICA」もコロナの影響を受け、売り上げに影響がありましたが、新しくオンライン体験のサービスを導入したところ昨対比1.5倍と売り上げが上がりました。
「地方はまだまだやりようがあるな、と思っている。(今回の受講生との出逢いも)地方を盛り上げる同志になる。こんなんどうですか、と気軽に話していたことが、気づけばこんなに大きくなったというように取組めたらいいと思います。ファーストステップは軽い気持ちではじめた方が、以外とその人の人生を変えるものになったりすることもあるので臆せずやっていけたらと思います。」
来月上旬の二日間、受講生たちは、宮崎県新富町でのFW(フィールドワーク)を通して
内省しながら思い思いの時間を過ごします。