日本遺産に認定された「新田原古墳群」。古代の風景を留めたものとして評価されています。
一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(宮崎県児湯郡新富町、代表理事:齋藤潤一、以下こゆ財団という)は、新富町内にあるさまざまなロケーション(風景などの地域特性)を観光や産業振興に生かす、ロケツーリズムを2018年10月1日よりスタートしました。
映画などのクリエイティブ作品のロケをただ誘致するだけではなく、観光や産業振興の資源として持続的に活用する取り組み、ロケツーリズム。従来型のフィルムコミッションとは異なり、効果を一過性のものに終わらせないことが重要視されています。
宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」は、活用されていない地域のロケーションを生かしたロケツーリズムに着目。国内はもとより、訪日外国人客も見据えた観光・産業振興策の一環として、ロケツーリズムをスタートさせました。
具体的には、こゆ財団が運営するウェブメディア「koyu media」において、ロケツーリズム活用が期待できるロケーションを随時記事として公開。関心のある映像・メディアなどのクリエイティブ関連事業者などのロケハンから撮影、事後のプロモーションまでをこゆ財団がコーディネートし、プロジェクトの遂行を支援します。
ウェブメディア「koyu media」
特徴:課題である受入態勢を中間支援団体「こゆ財団」がサポート
ロケツーリズムの成否は、受入態勢の充実度に左右されるといわれています。そのため、ロケでは現地をよく知るスタッフの撮影アテンドや、地域とのコーディネート、地元行政とのスムーズな橋渡しなどが不可欠です。
宮崎県新富町ではこれまでに「こゆ財団」がその役割を果たし、2017年度でのべ5,000人の視察者・ゲストを受け入れてきました。こゆ財団ではこの実績を生かし、事前リサーチから交通・宿泊の手配、放映・公開後の広報支援といったアフターフォローまで、こゆ財団が中間支援組織として作品にかかるすべての工程を支援していきます。

こゆ財団では2017年にのべ5000人の視察者・ゲストを受け入れ、観光地や地元生産者の元をアテンドしています。
背景:宮崎県新富町は「あるがまま」に活かせるロケーションが点在
宮崎県新富町は、宮崎平野における野菜・果物・米などの中心的な生産地として知られる町です。温暖な気候や宮崎市へのアクセスといった環境面に恵まれている一方、観光資源には乏しいとされてきました。
一方、新富町西部の大小合わせて約200基以上の古墳を有する新田原(にゅうたばる)古墳群が、隣接する西都市、宮崎市の古墳群と合わせて、2018年6月に日本遺産「古代人のモニュメント —台地に絵を描く 南国宮崎の古墳景観−」に認定されました。これは、新田原古墳群が古代の風景を今に留める希少性が評価されたものです。
新富町の地方創生の一環として、観光関連事業に携わる地域商社「こゆ財団」は、観光地化・公園化されていない新田原古墳群が評価されたことに着目。「あるもの」を「あるがまま」に生かすことで、人工的に装飾された既存の観光地にはない魅力を発信できると着想しました。
※日本遺産 公式サイト
「古代人のモニュメント —台地に絵を描く 南国宮崎の古墳景観−」
今後の展望:町内の眠れる資源を多角的に活用

天然記念物の「座論梅」。枝が地を這うように広がる臥竜梅です。
新富町には、新田原古墳群以外にも、以下のようなロケーションを保有しており、ロケツーリズムでの活用を考えています。
一例
●江戸時代に移植された伝統野菜を育むハスの池「湖水ヶ池(こみずがいけ)」
●アカウミガメの産卵地として知られる天然の海岸線「富田浜(とんだはま)」
●スサノオノミコトの八岐大蛇退治を表現した舞のある「新田神楽(にゅうたかぐら)」
●神武天皇が突き立てた杖から生まれたとされる天然記念物「座論梅(ざろんばい)」
●航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地を発つ戦闘機とその眼下に広がる茶畑の風景
これらはいずれも「あるもの」を「あるがまま」に生かすことのできる資源です。こゆ財団では官民が一体となり、今後増大が見込まれるインバウンドの地域観光ニーズも見据えながら、新富町役場、関連事業者と連携してロケツーリズムの展開を推進。地域に根ざした風景・文化・伝統が、持続的な経済効果を生むモデルの確立を目指します。