地域おこし協力隊

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一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(宮崎県児湯郡新富町、代表理事:齋藤潤一、以下こゆ財団という)は、都市部で働くビジネスパーソンに対し、地方都市に一定期間滞在しながら働くことでイノベーション創出やモチベーション・生産性向上をはかる「ワーケーション」を提唱。宮崎県新富町で、その実証実験に取り組んでいます。

特徴:「Team WAA!」との実証実験を通じてメリットと課題を抽出

「ワーケーション」とは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた、欧米発の造語です。インターネットを活用し、遠隔でも勤務できるようにしたテレワーク(リモートワーク)が新しい働き方として全国的に拡大。国内では和歌山県白浜町ではIT企業向けのオフィスが整備され、ビジネスパーソンの生産性向上や長期休暇取得の促進などにつながっています。また、受入自治体にも企業誘致事例の創出など、メリットが出てきています。

宮崎県の中央部に位置する人口1万7,000人の町・新富町でも、「ワーケーション」の実現に向けた取り組みが進んでいます。新富町は、誰もがいきいきと自分らしく働き、豊かな人生を送れるような「新しい働き方」に共感し、実現していこうとする企業・団体・個人のネットワーク「Team WAA!」と連携し、2018年9月〜11月の3ヶ月間にわたる「ワーケーション」の実証実験を行いました。

各月3名・合計9名による実証実験では、2〜3日間の滞在期間中、コワーキングスペースや交通機関といったハード面と合わせて、中間支援組織としてのこゆ財団やその他の新富町民が持つ特性を体感。都市部のビジネスパーソンが新富町ではたらくうえで得られるメリットや、解決すべき課題を抽出しました。

■「Team WAA!」とは(外部サイト)

背景:内外の交流の促進が肝要

慶應大学大学院 前野先生をお迎えして2018年10月に開催した講座。新富町では県内外の多様な人財が集まる機会が数多く生まれています。

経済産業省が発表している「通商白書2017」によると、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している国際競争力指標では、日本は「イノベーション能力」が上位10か国と比較して低い順位となっています。

これまで国内では、「イノベーション=多くが革新的な科学技術から生じるもの」として、イノベーションを「技術革新」と訳す傾向がありました。しかし実際には、イノベーションは既存技術であっても異分野と融合したり、経営の革新からも創出されるものであり、内部だけでなく外部のアイデアも積極的に取り入れて活用することが、イノベーションの創出を促進することにもつながります。

こゆ財団では「Team WAA!」との実証実験において、都市部のビジネスパーソンの新しい働き方の実現だけではなく、そうした外部との交流を通じて新富町内の人財にも新たな気づきが得られ、ひいては町にイノベーションが生まれると考えています。現在、新富町にはこゆ財団が実施している人財育成事業を通じて多様な人財が町を訪れており、「ワーケーション」の効果をより高くできる土壌が生まれています。

今後の展開:地元人財との連携を加速。地域課題解決ビジネスの創出へ

新富町にはこゆ財団が主催する起業家育成塾の受講生らも訪問。地域資源を活用したビジネスを創出する機会が作られています。

こゆ財団では、2018年11月に終了した「Team WAA!」との実証実験について、2019年初頭に成果発表を行うイベントを企画しています。また、実証実験に参加した研究生から、具体的な「ワーケーション」実践プランが提案されており、今後はその実現に向けて「Team WAA!」と引き続き連携。地域課題の解決につながるビジネスの創出も視野に、都市部と新富町との人財交流を促進していきます。