地域おこし協力隊

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一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(宮崎県児湯郡新富町、代表理事:齋藤潤一 以下、こゆ財団という)は、町の農業を持続可能にすることを目的として2017年に発足したスマート農業の研究チーム「儲かる農業研究会」(以下、研究会)のウェブサイトを2019年1月に開設しました。

これは、スマート農業の研究と実践に取り組んでいる研究会の活動を公開するもの。農業次世代人財および農業ベンチャーの育成と新規就農を支援します。

特徴:地域商社×若手農家×農業ベンチャー×地元高専による農業経営の実践場

こゆ財団は、平成30年6月に研究会を発足させました。目的は、町の主要産業である農業を持続可能にすること。そのための手段として、農家の所得向上と、新規就農の促進を掲げ、活動しています。

研究会には現在、20代〜40代までの7名の地元農家が参加。研究会のパートナーである農業ベンチャー、テラスマイル株式会社(宮崎市)が開発した農業支援システム「RightARM」を各自が圃場に導入し、月1回のミーティングでデータを共有しています。

地元高専と連携協定締結。共同研究も実施中
また、こゆ財団と平成30年3月に連携協定を締結している都城工業高等専門学校(以下、都城高専)の学生とも共同研究を実施。研究会メンバーをヒアリングした学生が、圃場の課題解決につながる技術を研究し、プロトタイプを作成しています。

この若手農家と農業ベンチャー、地元高専の三者による連携を、中間支援団体であるこゆ財団がコーディネート。分野横断型チームで「儲かる農業」の実践にチャレンジしている点が、最も大きな特徴です。

このたび開設したウェブサイト「新富アグリスタイル」には、研究会メンバーの活動やインタビュー、地元野菜の紹介といった情報を発信。経営マインドを持った後継人財や農業ベンチャーの起業を支援し、人財獲得につなげます。

概要

組織名:儲かる農業研究会
発 足:2018年6月
人 数:7名
主 催:こゆ財団
パートナー:テラスマイル株式会社
パートナー:都城工業高等専門学校

ウェブサイト:新富アグリスタイル

*関連リンク
宮崎の新富町、都城工業高等専門学校、こゆ財団が連携協定を締結

背景:減少を続ける農業人口。農業次世代人財の育成が急務

新富町でも農家戸数は減少。耕作放棄地も今後増加する見込みです。

農林水産省「農業労働力に関する統計」によると、国内の農業就業人口及び基幹的農業従事者数は、平成22年〜30年の5年間で約260万人から約175万人にまで減少しています。高齢化も、66.1歳から66.6歳へと確実に進んでいます。

農業の盛んな新富町においても、農家戸数は平成12年〜17年にかけて1,482戸から876戸まで減少。価格の低迷やコスト増、後継者不足などの課題が山積している状況です。
(参照:新富町役場ホームページ)

こゆ財団は、こうした課題について、ビジネスの手法で解決できる農業経営者の育成が急務であると判断。農業の将来に危機感を感じている農家を集めて、研究会を発足しました。IoT・ITを使った圃場の見える化は単独でも可能ですが、蓄積したリアルなデータを農家同士で共有したり、パートナーの知見を得るなど、チームで改善できる場はこれまでになかったもの。高品質な野菜の生産地として知られる宮崎県新富町のブランドを守り育てる意味でも、研究会の意義は小さくないと考えています。

今後の展望:プロトタイプを3月に発表。平成31年度は実用化に向けた実証実験を開始

研究会メンバーの圃場。平成31年度は都城高専、農業ベンチャーと連携し、実用化に向けた実証実験を行います。

現在、都城高専の学生3名が、圃場での課題を解決するプロトタイプを開発中です。平成30年11月に、開発の方向性をシェアする報告会を開催。平成31年3月の発表に向けて研究が進んでいます。

こゆ財団は、3月に発表される予定のプロトタイプについて、平成31年度を実用化フェーズに設定。研究会メンバーの圃場での使用感や技術的課題を洗い出す実証実験を行い、実用化へと動きます。

また、昨年度に蓄積したデータを活用した、メンバーの経営改善や収量向上にも着手。メンバーが「儲かる農業」を実現してロールモデルとなり、町に新規就農者の流入を加速させる計画です。