国の天然記念物を100%使用したお酒が誕生!? 刺激とワクワクを求めた酒屋さん:伊藤酒屋 伊藤寛人さん

地域おこし協力隊の制度を利用し、10年100社1000人の雇用を目指す宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」。

新富町は、「世界一チャレンジしやすいまち」を目指す財団メンバーがチャレンジを止めないということはもちろん、移住者を含めた地元住民もチャレンジを繰り返すことで全国から注目される町の1つとなっている。

人材育成の一環として、財団が2017年に開校した「児湯シータートル大学」の受講生でもある伊藤酒屋の伊藤寛人さんは、地元新富町で創業明治25年の酒屋の5代目。内側から町を盛り上げる取り組みをしようとする地元住民の1人だ。

商工会青年部の副部長でもある伊藤さんに、住民から見た新富町の昔と今や、こゆ財団のこと、今後の展望について伺った。

地域で立ち止まったままでは出会えない刺激が欲しかった

—学校卒業後、ずっと家業の酒屋さんを営んでいるのですか?

伊藤:いいえ。
大学卒業後は東京で野球用品関係のメーカーとして3年間働いていました。

先代も家業を継いで欲しいということも言っていなかったのですが、勤めていた会社が倒産したのをきっかけに地元に戻って家業を継ぐことにしたのです。

そのときのお店は、母と祖母の2人で切り盛りしていて、半分はクリーニングの取次店。残り半分の売り場はお酒やジュース、お菓子や雑貨など取り扱う田舎の商店みたいな様子でした。

このままではダメだと思って、とにかく10年間は必死に試行錯誤しながら、売上を上げる工夫をし、なんとか右肩上がりにもっていくことができました。

しかし、ここ5年は経営が落ち着いたということもあり、正直、自分自身で少し手を抜いていたような感覚もあります。

—現状を変えたいと思ったきっかけはあるのですか?

伊藤:やはり外からの刺激ですね。
どうしても地方に居続けて、外の空気を感じていないとマンネリ化してしまうし、自分自身でやれることをやり尽くしたという感覚もありました。

そんな時に出会ったこゆ財団。

昨年4月にあった財団のキックオフイベントに参加して、面白いことをやろうとしている人たちだって率直に感じたし、地域で商売をしている人間として、外の先進事例も学びたかった。

あとは、飲食に関わる業態なので、フードコーディネーターという業種の小野茜さん(こゆ財団)の存在も大きかったですね。
とにかくたくさんの刺激を受けたいという一心でした。

どこの地域も同じかもしれませんが、新富町は住みやすい町である一方、ビジネスに対して消極的で、新しいことをすることに躊躇してしまう地域ならではの課題も感じていました。

でも、これからは地域に住む人間もチャレンジしていく必要があると私は考えます。
財団には大いにやってもらいたいと思うし、協力もするし、私も負けずにチャレンジしていくつもりです!

国の天然記念物100%の梅酒

—伊藤さんがいまチャレンジしていることについて教えてください。

伊藤:新富町には、国の天然記念物に指定されている「座論梅(ざろんばい)」という梅の木があります。

その実を使った梅酒作りを進めていて、平成31年の1月下旬から2月上旬の販売に向け、ラベル作りなど追い込みをかけている状況です。

—国の天然記念物というと、容易に取り扱えるものではないような印象があるのですが、いかがでしたか?

伊藤:そうですね。
財団にも協力してもらって、町役場などにお願いに行ってなんとか実現しました。

実は、座論梅を使って何かを作りたいというのは、昔からやりたかったことなので、ようやく念願が叶ったという感覚です。

—初回の出荷量は何本くらいできそうですか?

伊藤:座論梅は古い梅の木で、実が小ぶりでまとまった量は作れません。最初は720mlが200本程度かなと思います。

ちなみに新富町は航空自衛隊の町でもあり、通称「梅組」と呼ばれる第305飛行隊があります。
部隊マークの梅花は、もともとは茨城県にある偕楽園にちなんでデザインされていましたが、現在は新富町の座論梅がモデル。

その梅組に、座論梅の梅酒を渡したいとも考えているので、市場にはあまり出回らないかもしれませんね。

座論梅が新富町にもっと増えれば、生産量を増やすことができると思いますけど(笑)

国の天然記念物を利用した商品で、地域をブランディングしていく伊藤さん。
地域を盛り上げるためには、地元住民の協力は不可欠だ。

地域に関わる全ての人がワクワクしたいことをする。あるいはワクワクを共有・支援したい。そんな人たちで地域がもっと輝き、面白くなる。

         
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