だから牛はやめられない!品評会グランドチャンピオンが語る畜産農家の魅力:森山延幸さん

宮崎県新富町の上新田地区で牛の繁殖をされている森山延幸さんは、仔牛の品評会にて県大会首席(優勝)という経験を持つベテラン繁殖農家。

これまで繁殖農家一筋で駆け抜けてきた森山さんに、繁殖農家の楽しさや辛さ、地元との関わり方や今後の展望について伺った。

繁殖農家一筋で続けられた理由

—繁殖農家を始めて何年になるのですか?

森山:18歳の時から父と一緒に始め、50年以上になりますね。
妻と結婚してからは、二人三脚で規模をあまり広げず頑張っています。

1頭1頭しっかりと向き合えるような頭数にしておかないと面倒見きれませんし。

—50年以上も続けてこられた繁殖農家の魅力とは何ですか?

森山:何と言っても品評会ですね。私が丹精込めて育てた仔牛に対する評価を見るのが毎回楽しみです。

1歳〜2歳の仔牛を品評会に出すのですが、親牛によって同じように育てても高い評価をもらえるわけではありません。

何年経っても思うように行かない牛の世界なので、今でも日々勉強ですし、情報交換などもおこなっています。

立ち直るきっかけにもなった“好きなこと”

—一度も繁殖農家を辞めようとは思わなかったのですか?

森山:1度だけありました。宮崎県の畜産が大きな打撃を受けた口蹄疫のときです。

宮崎で被害が発生してから10年近くが経ちますが、私にとってはつい昨日のことのようです。自分たちの牛を守ってあげたいと考えていましたが、飼っていた45頭の牛たちをいっぺんに失いました。

あの時の喪失感はこれまで経験したことのないものでした。「もう牛はやらない」と、真剣に考えました。

—なぜ再開しようと考えたのですか?

森山:やはり、牛を育てるのが大好きなんですよ。生まれて今日まで、繁殖農家しかしたことがないので他にやれることもありませんでしたし。

再スタートして良かったと思いますし、続けてきたおかげで児湯郡の仔牛品評会でグランドチャンピオンにもなることができました。

年を重ねても、若い人たちと平等に評価される場があると、負けたくないという気持ちが湧いてきて、より牛に対する思い入れも強くなります。

地域のつながりが仕事への活力に

—地元の方たちとのつながりはいかがですか?

森山:上新田地区の人たちはみんな仲が良いですよ。特に私の場合は、同業者との関わりが強いです。

後継者も育っていて、近所には20代の畜産農家さんもたくさんいます。そのような子たちと一緒にゴルフをしたり、お酒を飲んだりするのが私の一番の楽しみです。

どこでも後継者不足だと騒がれていますが、上新田地区の畜産に関しては心配ないと思います。両親の跡を継いで、これから畜産を頑張っていこうとする若者が多いというのは本当に心強いですね。

父から子へ、子から孫へ

—森山さんには後継者がいらっしゃるのですか?

森山:いないのですが、私たち夫婦だけでできる範囲のことしかしていないので心配もしていません。

このまま私の代で辞めても良いと考えていたのですが、最近になって中学1年生の孫が「じいちゃんと一緒に牛を育てたい」と。

本当に継ぐかは分かりませんが、孫が農業大学を卒業するまで10年あるので、それまでは現役で頑張りたい!

もし孫が本当に継いでくれるのなら、牛舎や機械類も手直しして綺麗にしてあげないといけないでしょうね。

なんだか、まだまだ子育てが続いているような感覚です(笑)

—上新田地区で農業をしたい人がいたら、どのようなアドバイスをしますか?

森山:上新田地区の土質は、サツマイモの栽培と相性が良いのです。私たちも、繁殖農家だけでなくサツマイモの栽培もしています。

かりんとうなどのお菓子に加工される芋と、酒造メーカー用に栽培している焼酎用の芋を育てていて、他の畜産農家も同じように栽培しているケースが多いんですよ。

移住者が上新田地区にどんどん増えるとは思っていませんが、若い方が少しでも地域に関心を持っていただける地区になると私も嬉しいですし、力になれると良いと思います。

新しいことには鈍感で、私にできることは見守ることしかないかもしれませんが、そのあたりを経験でカバーできると良いですね。


仔牛を見ながら「本当に可愛いんですよ。この子たち」と語る森山さんは終始笑顔で取材に応じてくれた。

そんな森山さんは、これからも好きなことで挑戦を続けていく。

 

         
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