時代に必要とされる組織をつくる 3つの要素

時代に必要とされる組織をつくる 3つの要素

働き方改革が推進され組織のあり方についても見直しが進められている昨今。これからの時代に必要とされる組織は、どのような組織なのか。東京からの移住者が増加し、地方創生の優良事例にも選ばれた地域商社こゆ財団(宮崎県新富町)を題材に、「ティール組織(英字出版)」の解説者である嘉村賢州さんと東京都市大学でコミュニティ研究を行う坂倉京介先生に話を聞いた。

ティール組織の観点からの「こゆ財団」

齋藤潤一(以下、齋藤):お二方には何度か宮崎県にも来ていただいてますが、あらためてこゆ財団という組織を研究対象としてとらえるとどういう印象がありますか?。

嘉村賢州(以下、嘉村):こゆ財団の移住者は、ワクワクして移住してるなって感じがあります。私が考える組織開発の3要素「パーソナル」、「ソーシャル」、「リアルワールド」という要素を抑えています。

パーソナルとは、私は何者なのかというのを探求出来ること。ソーシャルは、回りの人と関わりながらやっていくことができること。リアルワールドは、アウトプットが社会に貢献出来ているかもという感覚があるということです。

私のこれまでの研究だと、これらの3要素が満たされたら、組織が活性化する傾向があります。

逆に東京は、一生懸命頑張っても本当にリアルワールドで誰かを幸せにしているのかわかりにくいため、働いている実感を薄く感じる人が多いかもしれません。

齋藤:新富町では、特に地域づくりにおいて実験的なことが、すぐできるので、変化を起こしやすいです。

2019年に移住してきた男性は、上場企業でIPS細胞の開発をしていました。現在は、新富町でパパイヤを生産しています

自然と向き合いながら、パパイヤをつくるのは、まさにリアルワールド。彼の行動力は、他の社員の刺激にもなり組織が活性しているように思います。

地元の人と移住者が重なるソーシャルな「縁側」

齋藤:ソーシャルも一個の大事なキーワードですね。繋ぎ役や場の設定の重要性はあらゆる場面で感じます。例えば先月、バーベキューで10年ぶりに再開した農家さん二名が楽しく会話をしていました。それまではお互いに警戒しあっていたようですが、バーベーキューというソーシャルな場がコミュニケーションを円滑化しました。

坂倉京介(以下、坂倉):こゆ財団が行っていることは、地元の人と移住者が重なるソーシャルな縁側のような場を作っていることだと思います。縁側は、中からみれば床の1部で、外からみたらベンチと解釈されます

嘉村:僕は、京都で百人会の事務局をやっていました。百人会は、最初、行政が設定したら、しがらみが多すぎて人選が機能しなかったのですが、NPO法人に一部を委託したら、中間領域が増えて意思決定がしやすくなりました。

坂倉:こゆ財団の行動は、町民に何かしらの刺激を与えていると思います。その中での一部の人の考え方が変わることで、行動が変わり、町の雰囲気も変わってきていると思います。いま、新富町が注目されているのは、そこだと思います

変革者が街にくるだけでは、イノベーションは起きない

齋藤:そのほかに、組織を活性化するために気をつけておくことはありますか。

坂倉:前述した一緒に活動をする時間をつくっておくことが大事です。変革者がいきなり街に来てもイノベーションは起きない。住民と一緒に課題を解決する仕組みを構築すれば、自然と地域は変わっていきます。

齋藤:異質なこゆ財団が町に刺激を与えた部分はあると思います。その背景としては、役場の寛容性もあります。町長は「こゆ財団は、吉本クリエイティブエージェンシーを目指したらどうか?」と助言してくれます。

個性をどんどん生かして、地方で起業家を増やすのです。

組織のリーダーのあり方

坂倉:こゆ財団は、「世界一チャレンジできる町」を目指していて、それを体現している潤一さんの存在は重要です。

こゆ財団では、潤一さんの影響を受けて、小さなチャレンジをする人が増えてきているので、潤一さんが仮にいなくなっても、相互に補い合いチャレンジできる気運ができてきてる。リーダーシップとは、管理とか方向性を決めるという機能ではないことが、わかります。

嘉村:今の話で、自然農を思い出しました。自然農は、最初に土を全部逆さまにする「天地農」という作業があります。その後は、農家はいなくても、多様な生態系を作れば、自然に植物が自分の居場所を見つけて成長してくれるんです。

「人生の物差し」のはかり方

齋藤:僕がリーダーとして意識していることは3つあります。1つは安全安心の場をつくること。2つめに会話が生まれる職場環境、3つ目は、リーダーが自らビジョンを体現することです。そういう意味では、リーダーが「パーソナル」、「ソーシャル」、「リアルワールド」を認識していることは大切ですね。

坂倉:人間はずっと同じ状態が続くと飽きるので、適度に刺激が必要です。一つのことを突き詰める人生もあるかもしれないし、違うことに取り組む人もいる。

齋藤:人生をどのような時間軸ではかるのか「人生の物差し」のはかり方が大事かも知れませんね。

嘉村:組織の中では、自分の立ち位置を見失いがちです。1 on 1 などでの評価する仕組みが必要です。そこは、必ずしもリーダーがやらなければいけないということではありません。

個々が、「パーソナル」、「ソーシャル」、「リアルワールド」という要素を感じながら、互いを尊重する組織が、時代に必要とされる組織なのです。

         
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