お知らせ

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9名の受講生がプレゼンテーションに参加した「こゆソーシャルビジネススクール2020最終発表会」。審査員の皆さんたちによるトークセッションの後、いよいよ本番です。新富町で開催する予定でしたが、台風の影響で急きょオンライン開催。受賞者決定まで目が離せない展開となりました。

■特別審査員:田口一成 氏(ボーダレス・ジャパン 代表)、指出一正 氏(ソトコト編集長)、永山英也 氏(宮崎大学客員教授)
■モデレーター:高橋邦男(こゆ財団 執行理事)、橋本健太(こゆ財団 関係人口創出オフィサー)

発表者①:野﨑弘美さん
「着物でより美しく魅せる着こなしレッスン」

桐華流日本きもの指導者協会に所属する野﨑さんは、「自宅に眠っている着物はありませんか?」と問いかけからスタート。着物を着る機会がない人に対して着物の価値を提供するサービスを始めようとしています。

日本人女性は自分の容姿に自信が持てず、自己肯定感が低いとか。そのため、日本人をより美しく魅せる着物を活用して日本人女性の自己肯定感を高め、可能性を広げたいとそのビジョンを語ります。

目標レベルに合わせた教室や体験プランをつくり、また、着物を着て町を散策し撮影したりしながら、着物でまちを明るくするイベントも企画・実現しています。

緊張の中トップバッターの役割を担ってくれた野﨑さん。
正月は家族で着物を着て過ごすという指出さんから、
「女性の自己肯定感アップの素材として着物に着目した点がいいですね。着物で歩く人を増やしてまちを明るくして、お互いを肯定し合える着物好きな人たちのコミュニティビルディングを目指してはどうでしょうか」
と講評をいただきました。

発表者②:よしだなほさん
「串間市くしまポジティブ改造計画」

宮崎市出身、メディア関係の仕事に携わってきた経験をもち、3年前に37歳で個人事業を設立。38歳で宮崎県の最南端・串間市に移住し、感じたのは「ネガティブな発言が多い」ということ。
地元の男性と結婚し骨を埋める覚悟を決めた今、串間を住みやすい場所にしたいと一念発起。串間市にシビックプライドとポジティブ風土を育てようと、ローカルメディア『クシル』立ち上げ、串間に特化した情報や魅力を発信中です。徐々に運営を高校生メインへと移行させ、3年目以降は別の地域課題解決事業に取り組む予定です。

「ローカルに絞ったメディアが、どんなコンテンツになるか興味があります。住民がこのメディアにどう関わるかが今後の本質的な課題でしょう。地域広告社のようなこと考えるとおもしろいし、収益部分がどうなるかも知りたいところ」
と田口さんが今後のヒントをくださいました。

発表者③矢北嘉杜さん
「オリジナルサウナをつくりたい!」

自らを「九州サウナバカ」と称する矢北さん。
自転車で日本一周した際にサウナの魅力に気づき、フィンランドの社交場としてのサウナを賞賛。サウナの魅力を全力で語りながら“オリジナルサウナをつくりたい!”とあふれる熱量でプレゼンテーションしました。
目指すオリジナルサウナは、
「海にダイブできるサウナ小屋」。

「愛すべき“サウナバカ”ですね(笑)。サーフィン&サウナとか、特定のカルチャーに紐づいてやるのはアリと思います」(指出さん)

「僕はサウナーではないのでよく分かりませんが、人が知らないことをやるのはアドバンテージ。ターゲットをサーファーに絞って各地を少しずつ攻めていったらどうでしょう」
田口さんも情熱に押され気味でコメントをくださいました。

発表者④吉田道生さん
「国産木材を使ったプロダクトを生み出したい」


長年デザインやものづくりの第一線で技術者として活躍してきた吉田さんは、定年を前に退職し、宮崎に移住。国産木材を使った物づくりで地域を盛り上げたいと合同会社を発足したばかりです。

田口さんは、「技術ある人。プロダクトアウトで自分流の作品をどんどん作り、使ってもらい改善していく、というやり方がいいのでは」とアドバイス。

永山さんはプレゼンで登場した木製カップホルダーを絶賛しながら、
「木材は価格が低下したり、伐採しても植林が追いつかないなど循環がとぎれつつある。吉田さんのような方達が付加価値を生み出してがんばってほしい」
とエールを送りました。

発表者⑤橘木良祐さん
「世界の食糧危機をカエルで解決する」

そのビジュアルに一瞬戸惑う“カエルくん”こと橘木さんですが、至って真面目、間違いなく本気。かつて、食と住を失いカエルをつかまえて食べた経験からその美味しさと高い栄養価に魅力を感じ、「世の中すべての人が栄養のあるものを腹一杯食べられる社会にする」と立ち上がりました。世界の食糧危機を乗り越えるため、カエルの養殖技術を確立し商品化することを目指しています。

「無印良品がコオロギせんべいを発売したように昆虫食は注目されている。カエルもいけるのでは? この先の形が非常に楽しみです」(指出さん)

「品種は? エサは何?」と興味津々の田口さんは、
「すぐにやったらいいですよ」と背中を押します。

発表者⑥串間義弘さん
「外国人労働者による農業活性化」

社会保険労務士として5年前に開業し、地方の人口減少、労働力不足の実情を知った串間さん。一方、日本で働く外国人に関わる制度に欠陥と問題があることも知り、「労働力不足の悩みを抱える農家さんとそこで働く外国人のサポート」を提供しようとビジネスモデルを構築しました。

「タイムリーで大きな課題。外国人は労働力だけでなく、今後企業の中核人材としての外国人受け入れも必要になってきます」(永山さん)

一方で、
「日本は今や外国人労働者から“選ばれない”時代。外国人たちのメリットをしっかり描く必要があるのでは」(田口さん)
「大切なのは“ヒューマンセンタード”。日本で労働した外国人が楽しかったといって広めてくれるような、先の先を見た仕掛けが必要になるのでは」(指出さん)
と、違う視点からの問題提起もしてくださいました。

発表者⑦鈴木宏明さん
「諦める養殖業者をなくしたい」

椎葉村でチョウザメを養殖しキャビアの加工販売までを手掛ける鈴木さん。以前ゲリラ豪雨による停電で知り合いの養殖チョウザメが全滅。その後なんとか一緒にキャビア出荷まで漕ぎ着けましたが、養殖業者の「俺もう辞めるわ」の言葉をもう聞きたくない。そんな想いで、養殖期間の長いチョウザメを成長段階ごとに養殖業者内で担当を分けて育てることでリスクを減らし、生産効率をアップするやり方を提案。新しい形のチョウザメ養殖から食肉・キャビア加工までをビジネスプランにしてプレゼンテーションしました。

チョウザメ養殖・キャビア生産はソーシャルグッドにどうつながるのか? と心のひっかかりを吐露する田口さん。
「養殖することで乱獲を減らせるし、卵だけじゃなく食肉としても活用できます。他にも、…」
との鈴木さんのアピールに、
「なるほど。もっとその部分を強く打ち出していくといいですよ」
と納得した様子でした。

「これからどんなジャンルにおいても、持続可能性や責任あるビジネスが大切になってきます。余すことなくいただくことをアピールしたブランディングができるといいですね」(指出さん)
社会の向かう方向を意識したビジネスの目線を示唆してくれました。

発表者⑧松浦千博さん
「牧場体験と牧場を感じる牛乳」


畜産経営を学びに単身渡米した、新富町の松浦牧場2代目千博さん。牛乳を生産するだけでなく加工販売・牧場体験やコラボイベントを開催していたアメリカの牧場に感銘を受けます。帰国した途端に口蹄疫で前頭処分となりましたが、10年かけて現在の牧場を家族と共に作り上げました。
松浦牧場の牛乳は、牛乳そのものの味わいが楽しめるノンホモジナイズ低温殺菌製法。この牛乳の試飲を含め、母牛との対面、子牛の哺乳など牧場体験により、命の循環を感じ家族の思い出にしてほしいと様々な体験プランを企画・展開中です。アメリカでの経験・口蹄疫からの復興という感謝の気持ちを込めて、地元に寄り添う牧場経営を目指しています。

審査員の皆さんからは、
「酪農家が減っている中での素晴らしいチャレンジ」(永山さん)
「アトラクションではない、当たり前の生活を見せて体験させることで人と自然の距離が縮まる」(指出さん)
「“命の牧場”なんていいのでは? 家畜動物と人間のこれからの関係性・あるべきデザインを描いていってほしい」(田口さん)
など、想いのある牧場経営を絶賛する言葉が飛び交いました。

発表者⑨屋宜直美さん
「サルサでママをhappyに」

最終発表者は、新富町出身の一児のママです。
子ども時代の辛い経験から新富町が嫌いだったという屋宜さんですが、サルサダンスとの衝撃的な出会いで明るくポジティブに生きる女性に大変身。児童虐待や離婚を減らしたいとの思いで、育児ストレスに悩むママたちを対象に赤ちゃんと一緒に参加できるサルサ教室“BEBE SALSA(ベベサルサ)”を提供します。元看護師の知識とスキルも生かした、屋宜さんならではのビジネスプランです。

「事業性が高く、必ずうまくいくと思います。産婦人科とつながって体験につながるシステムをつくるといいですね」(田口さん)
「とてもいい。パパも一緒に、まで広がるとさらにいいですね」(永山さん)
皆さんの明るい笑顔で締めくくった最終プレゼンテーションとなりました。

審査の後、いよいよ…結果発表!

9名のビジネスプラン発表がすべて終了し、審査員たちによる審査タイムへ。さて、どのプランが最優秀賞を勝ち取るでしょうか。

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