活動レポート

活動レポート

オフィスから徒歩5分程度の場所にある新富町立富田小学校。2020年12月8日の午後、6年生のふるさと学習の時間に招待され、こゆ財団スタッフと地域おこし協力隊を含め4人で同校体育館を訪れました。地域の子どもたちが外から見たまちの「良さ」を発見する、気づきの時間を共創しました。

こゆ財団から、Iターン移住者3名が登壇

講師として来校したこゆ財団・中山は1学期から富田小学校6年生のふるさと学習に関係して活動しており、コロナ禍でできなかった子どもたちによる対面取材を代行し地域人材を訪問するなど、学びのサポートをしてきました。今回は先生からの要望を受けて、こゆ財団に在籍するIターン移住者3人と一緒に同校へ。新富町の印象や移住のきっかけなどを話しながら、外から見た新富町の印象を話しました。


●岡田真由美さん(高知県出身)
岡田さんは5年前に新富町に移住。満員電車に揺られる東京暮らしを離れ田舎暮らしができる場所を求めていたところ、ある人の紹介で初めて新富町へ。その時、通りすがりの小学生が「こんにちは!」と元気に挨拶をしてくれたことに衝撃を受け、初訪問で移住を決定。「大好きになった新富を多くの人に知ってもらいたい」と、こゆ財団で朝市開催や観光体験づくりなど、観光面での仕事をしています。


●中山雄太さん(熊本県出身)
大学時代に自転車も使いながら世界の5大陸を旅した経験をもつ、フォトグラファー/映像クリエイターとして活躍中の中山さん。世界の素晴らしさを感じると同時に、日本がどんなに恵まれた国かも肌で感じてきました。
今は新富町地域おこし協力隊として活動しながら、新富町の農家さんや伝統的な風景、アカウミガメ保護活動の様子など精力的に撮影し、写真や映像を通して町の魅力を発信しています。


●橋本健太さん(愛知県出身)
2019年4月に、新富町地域おこし協力隊として移住してきた橋本さん。前職はまちづくり関連の研究機関に所属していましたが、新富町でもこの1年半、まちづくりや教育事業に携わりながら、町民と交流を深めています。
大学在学中はインドやベトナムでストリートチルドレンの保護活動に従事したり、国費交換留学生としてメキシコで経済調査をしたりと、海外での活動経験も豊富です。

3人に質問。見えてきた「まちの良さ」とは?

こゆ財団の中山が、事前に預かっていた子どもたちからの質問を織り交ぜながら、3人に質問。

−どうして新富町にきたのですか?
「移住先を別のまちと2択で迷っていたのですが、新富町でこゆ財団に行ったら、自分と年齢がそう変わらない若い人たちがいきいきと働いていて、すごいなぁ、って。ここで自分もチャレンジしてまちをおもしろくしてやるぞ!って思ったんです」(中山雄太さん)


▲子どもたちは熱心に話を聞きながらメモを取っていました

−新富町内で好きな場所は?
「ルーピン(JA児湯農畜産物直売所)かな。奥さんと4ヶ月の娘のためにご飯をつくるので、毎日買い物しています。野菜やお肉が驚くほど新鮮でおいしくて、しかも安いですね」(橋本さん)

−新富町の魅力は?
「人を応援してくれる人がいっぱいいます」(中山雄太さん)
「人生を楽しんでいる人がたくさんいるところ」(岡田さん)

−実際に来てみて、何がおもしろかった?
「地元愛が強い大人、誇りを持って仕事をしている大人が多くて刺激になります。この人たちと一緒に仕事がしたいって思います」(中山雄太さん)

「足りないもの」より「いいところ」
視点を変えると見えてくる

さてここで、子どもたちは少人数のグループごとにこれまでの話を振り返り、改めてもう一度、聞きたいことを今度は子どもから直接3人に投げかけます。

一人の生徒が質問。
「新富町に足りないものは何ですか?」

他の子どもたちからは、
「お金がない」
「楽しい場所がない」
こんな言葉が口々に飛び出しましたが…

「こんなにいいまちなのに、『自慢してくる人』がいないなぁ。好きな部分、いいところにもっと気づいてほしいですね」(岡田さん)

「足りないものなんてない。食べ物があって安全に暮らせて…日本に生まれてきただけで“勝ちゲー”だよ」(中山雄太さん)

一方、橋本さんはこう言います。
「正直僕も地元が好きじゃなかった。でも、国外・地域外のいろんな人と会うことで考えが変わってきました。自分の当たり前が当たり前じゃないことに、これからたくさん気づいてほしいですね」

最後に、講師として進行役を務めた中山さんは、
「日本の市町村の数は1700以上。そのほとんどにきっと足りないものはある。だから『いいとこはどこ?』という視点で、自分のまちを見つめてみるのも手かもしれませんね」
と話して会を終えました。

生徒代表のお礼の挨拶では、「新しい良さが知れてよかった」とのうれしい言葉が。
また、一緒に授業を作った先生も、
「私たちとは違った視点から、思いも寄らない言葉を聞くことができました」
と、子どもたち同様に新たな発見を感じていただけたようでした。

こゆ財団は引き続きこれからも、子どもたちの学びに寄り添い、まちの教育をサポートし続けていきます。