※JR日向新富駅の外観。駅舎内はコワーキングスペースとして、テーブルや椅子が並びます。
地方創生の知恵袋3つのポイント
1時間に1本の駅をコワーキングスペース化
お客様視点で「場をつくる」
背景、ストーリーも有効活用
資金がなければ何もできないのか? そうではなく、視点を変えて、お客様の立場に立ったアイデアで町はきっと変わります。
1時間に1本の駅をコワーキングスペース化
ここは、駅舎を所有する新富町から依頼を受けて、こゆ財団が駅舎内のリノベーションを行った日向新富駅。町で盛んな施設園芸(ビニルハウス)と町章の一部をモチーフにした形が特徴的ですが、この駅は1時間に1本程度しか電車が停まりません。1日200〜300人程度の利用者しかいませんが、駅舎内は案外ゆったりした空間となっています。
このスペースをうまく活用できないだろうか?と考え、駅にコワーキングスペースをつくりました。

JR日向新富駅のコワーキングスペースで勉強する子どもたち
お客様視点で「場をつくる」
駅舎内にテーブルと椅子を置き、テレビモニターを設置。モニターでは町の特産品映像を流しました。すると子どもたちが集まりはじめ、ある時は宿題を広げて勉強を始め、ある時はカードゲームに興じる様子も。子どもに限らず、女性たちがカフェのようにおしゃべりしていたり、ビジネス客が仕事をしていたりと、場をつくることにより人が集まるようになりました。
この取り組みは、内閣官房シェアリングエコノミー推進室が公開している『シェア・ニッポン100〜未来へ繋がる地域の活力』に選定され、視点を変えて場をつくるおもしろさを発見することができました。
背景、ストーリーも有効活用
資金がない中で、何をどのように有効活用していくか。遊休資産、つまり既存のものには新しいものにはない特有の文化・歴史・背景が潜んでいます。そういうストーリーまでも活用すれば、二つとない場所や施設がつくれます。
駅舎をコワーキング化することで、人が行き来する駅本来の姿を取り戻し、地域活性化につながったこの事例には、ブランディングの一つの形を教えてもらった気がします。

さらに充実した駅舎内。小さな町の玄関口は新たなコミュニティスペースとして町内外の人たちに活用されています
*木目のレトロな駅舎に子どもたちが集まる姿にほっこりします。電車で久しぶりに帰省した人はびっくりするでしょうが、ふるさとの賑わいはきっとうれしいはずです。