宮崎県新富町の地域商社「一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(略称:こゆ財団)」で商品開発プロデューサーとして東京都から移住した小野茜さん。
新富町を第二の拠点として活動する小野さんは、新富町の商店街に飲食店を2店舗プロデュースした。
地域住民からも何もない町、通過点の町と言われる新富町を飲食で変えていこうとする小野さんに、飲食の可能性について伺った。
チャレンジしやすくなる飲食店
今回、小野さんがプロデュースした飲食店はKOYU野菜カフェ。
お店のあり方について小野さんは、
このお店は、ただ休憩したり食事をしたりするだけのお店ではないと考えています。飲食店を経営する人、これから飲食業にチャレンジしたい人、そのような人が少しでも失敗しないようにできるお店。
新商品や新しいサービスを考案したら、ここで試験的にやってみれば良いし、そこで顧客のニーズを見ながら改善していく簡単なマーケティングが可能だからです。また、飲食店経営未経験の地元主婦に経営を任せることで、起業を身近に感じ、「私でもできるかも」という風に感じてもらいたいのです。
サポート体制が顕在化している町
チャレンジしやすい町という認識が高まる新富町は、具体的にどうチャレンジしやすいのかという質問に小野さんは、
「起業家育成しますよ」と言っている自治体はたくさんあると思いますが、ここまでサポート体制が顕在化された町はない。
これしたいなら、どこに行けば良い、誰に会えば良い、そんな人同士の繋がりもあって、初めて実現する体制が整っているのが新富町だと思います。
ストレスを感じていたことを初めて実感した
新富町へ移住してからの心境の変化や、自分自身の気付きについて、
東京都千代田区と宮崎県新富町の2拠点で生活しているのですが、東京での生活に不満やストレスを感じることはありませんでした。
しかし移住することで、それは個人的にメンタルが強いとかいう問題ではないことが分かったのです。それは、私自身が無意識のうちに全身に力が入り続けていたから。
いつ誰に会うか分からない、常に他人の評価を意識して生きていかないといけなかった。突然の誘いに備えて、深夜まで化粧を落とさず自宅で仕事をしていた。そうしていると、自分が今どんな状態なのか分からなくなっていたのだと思います。
その点、こっちでは一日中ラフな服装で良いですし、本当に心からリラックスして仕事ができている感覚があります。
地域住民が移住者に自信を持って町をPRしてもらう
移住して来たときの町の様子について、
私が東京から移住した時に、地元の方が「何もない町なのによく来たね」と言いました。それより、地元の方が「ようこそ新富町へ」って自信を持って言ってくれる方が、移住した側としても嬉しいのです。
確かに、今は何もない町と言われても仕方ないかもしれませんが、今回オープンした飲食店での経験を経て、多くの人が起業を目指し、4店舗5店舗とお店が増え、ランチ時には人が溢れているような商店街にしていくのが現段階での目標です。
町全体がワクワクするための仕組み
小野さんがプロデュースしたお店では、可能な限り新富産の食材が使用されている。そうした経緯について小野さんは、
生産者の方は、これまで生産から出荷までしか関わっていない場合が多かったと思います。
しかし、このお店で地元生産者の食材を使った料理を提供すれば、消費者の顔が見れる場所にもなるのです。生産者の方がお昼時やお休みの日にフラッと食事に立ち寄ってくれれば、自分の野菜を食べて「美味しい」と口にするお客様の顔が見れるのは、モチベーションにも繋がるし、もっと美味しいものを作ろうと頑張れると思います。
経営者もお客様も生産者も地元の方がみんなワクワクするような場所に、このお店がなってくれると嬉しいです。
移住した人たちが、情報収集のため最初に立ち寄る町の顔として機能していくお店が新富町にオープン。
飲食店が地域住民を巻き込み、商店街をもっと面白くしていく。
【店舗概要】
店 名:KOYU野菜カフェ
住 所:宮崎県児湯郡新富町富田1-21
営業時間:11:00-16:00(15:30L.O.)
電 話:0983-32-1150
定休日:毎週月曜、第2・4日曜日
事業詳細