イベント

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企業×地域=無限の可能性を探る、というコンセプトのもと今年からスタートした「こゆチャレンジ大学(略してこゆチャレ)」。

第6回目はゲストにREADYFOR株式会社の徳永健人氏を招聘。「誰もがやりたいことを実現できる社会をつくる」というビジョンを掲げ、日本初のクラウドファンディング会社として先頭を走り続けるREADYFOR株式会社と、「世界一チャレンジしやすいまち」をビジョンに掲げ、企業連携や人財育成の企画・運営を通じて関係人口創出に取り組む、地域商社こゆ財団

「まちづくりにおけるクラウドファンディングの活用」をテーマに、継続的な可能性について、こゆ財団の高橋との対談形式でオンラインイベントを開催しました。

■開催:2021年9月24日(金) オンライン開催

■対談テーマ:「まちづくりにおけるクラウドファンディングの活用」

■オンライン動画はコチラから(You Tubeページに飛びます)

■ゲスト講師: 徳永健人氏(READYFOR株式会社

■対談相手:高橋邦男(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 執行理事)

■モデレーター:有賀沙樹(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 広報イノベーション専門官)


想いの乗ったお金を地域に流せる

エコシステムの開発


想いの乗ったお金の流れを増やす―実は私も、かつてこのREADYFORの想いに共鳴して入社。クラウドファンディングを通じて、想いを叶えたい挑戦者の方々に伴走し、夢を叶えるお手伝いをしておりました。あれから数年!巡り巡って、こうしてかつての同僚と仕事でご一緒できたことが何より嬉しくて、終始ワクワクしておりました。

今回は、クラウドファンディング会社READYFORの徳永さんをゲストにお迎えし、クラウドファンディングをしたその後、また挑戦者の想いを資金面で応援できるファンド組成について地域における可能性、そのプラットフォームを作るとしたら?!というテーマでセッションを進めました。

 

有賀「冒頭からそもそもの話で恐縮なんですが…ファンドレイジングって何ですか?笑」

徳永さん「海外にはファンドレイザーという職種が広く認知されていて、NPOなどの非営利組織に限らずアメリカだと図書館やスポーツチーム、オーケストラなどに資金調達する人、という意味でファンドレイザーが居ます。私も国内のファンドレイザーの資格を持っていて、寄付・融資借り入れ・助成金など色々な手法を使って広義の意味で資金調達の戦略を立てる人がファンドレイザーという呼び名で呼ばれています

高橋「こゆ財団は地域課題の解決をビジネスとしてすることを軸にしている訳ですが、より共感・賛同いただく仕組みを作りたいんですね。社会課題解決に強い想いを持って裸一貫でスタートする方が私たちの町にも少なからずいらっしゃるので、せめて初期の滑り出しを財団としてサポートしたいと考えています。私たちがビジネスで得た収益を何かしらファンドという形を作って、皆さんの支援をしていけたらと思っていて、そのあたりの仕組み作りをREADYFORの皆さんとリアルに掛け算していけたらと思っています」

徳永さん「最近私たちが取り組んでいるところでお話すると、クラウドファンディング以外の事業も幾つかしています。例えば休眠預金の活用を促す基金的な取り組み、特定の団体に寄付したい企業との間に入るアレンジメントの役割、遺贈寄付をサポートするサービスなども始めていて、全て志のあるところにお金を流していくというのが根底にあって、その媒介を担うという取り組みを最近始めています。そのうえで話をすると、こゆ財団さんはよく地域で不足していると言われるヒト・モノ・カネ・情報が全て揃っていますよね。ボランタリーな想いで成立しているのではなく、事業性を持って利益を生み出して持続可能な仕組みを確立されているなと思います」

高橋「まさにボランタリーなところと事業性って2極対立しているように言われていて、誰もがスタートしやすい仕組みを作りたいけれども持続可能なお金の仕組みを作らないと継続できないということが皆分かっていることだと思うんですよね。まずはそこのプラットフォーム…エコシステムを新富で作りたいと思っています」

徳永さん「社会がそういう動きになってきていることは感じていて、今まで挑戦する側だった人が寄付する側になったりと還元するサイクルは現にできてきていますね」


日本は海外に比べて寄付文化が薄い?

むしろ習慣化して取り入れることが得意


徳永さん「毎年クラウドファンディングに挑戦する方もいるんですが、クラウドファンディングが出てくる以前からキャンペーンっていうものはあったと思うんですよね。例えば毎年バレンタインデーにはチョコレートを贈るとか、クリスマスにはサンタクロースが来るとか、日本人て割と取り入れるのが上手だと思うんです。

他にも今年も〇〇高校、甲子園でました!と年に一度の寄付金のお願いが来ると『今年もこの季節か、寄付するか』となるんですよね。大学で寄付研究をしていたんですけど、日本って非経済的な年に一度の行事が得意で、お中元にしてもお歳暮にしても『なんでやってるの?』って子どもに聞かれてもおそらく『毎年やってるから』としか言えないと思うんですよ(笑)

日本ファンドレイジング協会が2017年に寄付白書を出しているんですが、支援者の『毎年支援する動機』第一位が『毎年のことだから』っていう理由なんですよ。海外に比べると寄付文化はまだ少ないという話もよくされるんですけど、実は贈与として毎年習慣化して楽しんでいるんですよね」

高橋「地域社会って『ムラシャカイ』であると、よく慶応大学で幸福学を研究されている前野先生も仰ってるんですが、貨幣経済の前から存在する物々交換のカルチャーって地域に色濃く残っているんですよね。それをいかに現代版にアップデートしていくかなので、これまで閉じていた社会をどう循環させるか、と前野先生が仰っててその話と徳永さんがして下さった話がリンクしました。それこそ、従来通りなら町内で店舗オープンした方がいたら町内の人間が応援するのが当たり前だったと思うんですけど、いまはオンラインを使えば幾らでも広く発信ができるので、地域のプレーヤーを応援する選択肢が非常に多いなと思っています

徳永さん「それこそ、クラウドファンディングという手法があることで、『お金が無くてできない』という言い訳ができなくなったと言われることがあります(笑)」

高橋「そうですね、それだけに志のあるお金が動くかどうかって実直さがあるかどうかが問われる状況だなと思っています」


個人の熱量が可視化される時代だからこそ

表現が苦手な方の想いを届ける担い手が必要


高橋「地域で社会課題を解決しようとNPOを設立してまさに取り組んでいる方がいるんですが、READYFORの皆さんは事業性以外の部分で言うとどこを見ていますか?」

徳永さん「1つは熱意。それこそソーシャルキャピタル、人間力、人望、人徳みたいなものをお金に変換する方もいます。もう1つは事業の尊さ。その方が取り組まなければセーフティネットから抜け漏れてしまう方っていると思うんです。ちなみに、最近READYFORで増えているのは、特定の地域ではなく特定の事業に寄付をしたいというふるさと納税が増えてますね」

高橋「その熱意、熱量みたいなところはどうやって図ってますか?」

徳永さん「今でいえばSNSでのエンゲージメントを見てますね。フォロワーが1万人いるのに投稿に対するいいねが1とか2とかってなると、エンゲージメントが低いのでフォロワーが多いだけってなりますね。当然それだけではないので、後は中の人間の感覚みたいなものもありますね」

確かに、今はSNSなどから個人の熱意熱量が可視化されている時代とも言えます。とは言え、まだまだ地域ではSNSを運用されていない方も多くいらっしゃいます。インターネットでの発信はされていなくとも、地域で熱意熱量を持って取り組まれている方を多く知る高橋としては、表現が得意ではない方の想いを発信していく橋渡しをこゆ財団が担っていきたいと言います。

高橋「こういったことが起こっているということは財団からもニュースとして発信はしていますが、もう一歩踏み込んで情報発信に留まらないチャレンジの可視化をしていくことが私たち側のミッションだなと感じました」

加えて、SNSに限らず年賀状でのやり取りなど、いくらでもコミュニケーションの方法はあるのでSNSやってないからダメと諦めずにその人にあったやり方でアプローチすることも大事だと徳永さんは話してくださいました。

この情報発信から一歩踏み込んだチャレンジの可視化に取り組むことでどんな可能性が広がるのか、新富町で是非実験してみたい!と聞いている私もワクワクしました。

高橋「徳永さん、まずは新富町に一度お越しください。そして私たちがまだ可視化は出来ていないけど、異常に熱量を持っている方々に会っていただきたいです(笑)こゆ財団をエコシステムを作るためのツールの1つとして使っていただきたいです」

徳永さん「ありがとうございます!ぜひ!」

高橋「私は準備ができています、I’m for ready!」

高橋の謎の締めで終わったオンラインイベントですが(笑)これをきっかけに『チャレンジの可視化』に着手していければと思います。続報をお楽しみに!

こゆ財団では今後も様々な掛け合わせを楽しみながら、新しい可能性の拡大へチャレンジして参ります。引き続きお楽しみください。

written by Saki Ariga