こゆアカデミー2025 番外編「こゆアカプラス」【開催レポート】
タイトル:「こゆアカプラス〜ママとみんなのおはなし会で、ゆる〜くホッとする時間を〜」
開催日時:2025年12月14日(日) 15:00~17:00
会場 : 新富町交流センターきらり(和室・講義室)
参加費 : お一人様500円(キートスのドリンク&焼き菓子代)
ゲスト : 松浦ちひろさん(松浦牧場)、緒方生寿恵さん(カフェkiitosオーナー)、常住茜さん(企画者)
形式 : ゲストトークセッション+おやつタイム&お話し会
同時開催:ママ達のお助け食堂(ひまわり会の屋宜さんとカフェkiitosの緒方さんによる共同主催の子供食堂)
はじめに ― 企画の背景と目的

宮崎県新富町が掲げる「世界一チャレンジしやすいまち」の理念に基づき実施する「こゆアカデミー2025」。
その番外編として初めて開催された「こゆアカプラス」は、プレママ・パパ、そして子育て中のママ・パパを対象に、「いまより自分をちょっと好きになる」きっかけを提供する新しい試みです。
新富町の活性化には町民一人ひとりの主体性が不可欠です。
特に子育て世代は、日々の多忙さや環境の変化の中で孤立感を抱えやすい側面があります。
仕事と子育ての両立、ママ友づくり、自分の時間の確保、子どもとのコミュニケーション——そんな「ふとした疑問や気になること」を自由に話せる場が必要だという声から、この企画は生まれました。
毎月、実施されている「子ども食堂」とコラボレーションし、美味しいお菓子とドリンク(カフェkiitos提供)を片手に、日頃の悩みや関心事を気軽に話せる「おはなし会」形式で開催。
子育て世代が「ゆる~くホッとする時間」を過ごすことでリフレッシュし、前向きな気持ちで明日を迎えるための場となることを目指しました。
「あなたの言葉で誰かの明日が変わるかもしれない」——そんなコンセプトのもと、ゲストや他の参加者との「楽しいお話」を通じて、子育ての不安や悩みを共有・解消し、地域コミュニティとの継続的なつながりを育むことを目的としています。
当日の会場は温かな雰囲気に包まれ、小さなお子さん連れのママやパパ、プレママなど、多くの参加者が集まりました。
「泣いてもOK、自由にお喋りOK」な場として設計されたこの会は、参加者がリラックスして過ごせる空間となりました。
第一部:ゲストトークセッション ― リアルな経験と共感の物語
■松浦ちひろさん(松浦牧場) ― 3人の子育てと仕事の両立

松浦さん(以下松浦):小さい子供もいて、子育てしたいけど、仕事もしないといけない。そんな悩みを抱えながら、1人目、2人目と出産して、2人でもう十分と思ってました。
そう語る松浦さん。
しかし、コロナ禍の時期に緒方さん家族が3人のお子さんを連れて牧場に遊びに来た際、その楽しそうな様子に心を動かされ、「3人欲しいな」と思ったそうです。
松浦:でも実際は、2年ごとに出産が行われまして(笑)。本当にいっぱいいっぱいで、毎日が“てんやわんや”でした。
それでも、近くにいろんな話を聞いてくれる人たちがいたからこそ、なんとかやってこれたと振り返ります。
特に土日は実家に子どもを預けることも多く、「お前子育てしてねーだろって感じですけど(笑)」と自虐的に笑いながらも、周囲のサポートの大切さを強調しました。
4~5年前から松浦牧場の牛乳の販売を始め、ケーキ屋さんやカフェに牛乳を卸すようになったことで、カフェkiitosの緒方さんなど地域の人たちとの交流が増えたそうです。
松浦:牛乳配達が目的なんだけど、立ち話で話を聞いてもらえる時間があって。大人と話しているというだけで、すごくリフレッシュできました。
■緒方生寿恵さん(カフェkiitosオーナー) ― 「大丈夫」という言葉の力

新富町のカフェkiitosを経営し、3人のお子さんを育てる緒方さん。
愛知県出身で、友達が一人もいない状態で新富町に移住してきました。
緒方さん(以下緒方):新富が大好きで、本当に新富とか宮崎の人の良さ、野菜が美味しかったり、そういうのに惚れて、今は実家よりもこっちの方が住みやすくなっています。
緒方さんが特に強調したのは、新富町の人たちの「肯定的な姿勢」でした。
緒方:絶対に否定をしないんです。『大丈夫大丈夫』って言ってくれて。大丈夫だと思ったら、本当に大丈夫なんですよね。
この「大丈夫」という言葉が、どれだけ子育て中の親を救うか。
緒方さん自身も、その言葉に何度も励まされてきたと言います。
緒方:女性が生き生きしていたら、たぶん世の中がうまくいくと思っています。だから、女性の方が思っているような環境を今後も新富、宮崎で作っていきたいです。
■常住茜さん(企画者) ― 言葉の力と孤立からの脱出

本企画の発案者である常住さんは、京都での子育て経験から、このお話し会の必要性を強く感じていました。
常住さん(以下常住):京都で子育てをしても不安で、お友達もいない、実家もない。京都人ってなんとなく裏表があるって言われますし、ママ友っていうのがすごく大変で…。
公園デビューもせず、息子を連れて観光地に遊びに行くことが多かったという常住さん。
しかし、保育園に入ってから出会った素敵なママたちの「何気ない一言」が、彼女の子育てを変えました。
常住:『今までそんな考えなかった』とか、『もうちょっと肩の力を抜いて子育てしていいんだ』って思える一言一言があったんです。
新富町に移住してからは、緒方さんや松浦さんはじめ、素敵なママたちとの出会いがあり、「こんなところで子育てできるなんて幸せだ」と実感したそうです。
常住:“誰かの言葉で明日が変わるかもしれない”ーそれが私の人生経験としてあるので、ぜひぜひ皆さんでこういうお話し会ができたらいいなと思って企画しました。
第二部:おやつタイム&お話し会 ― 本音が飛び交う交流の時間
ゲストトークの後は、キートスの美味しいドリンクと焼き菓子を楽しみながら、参加者同士が自由に交流する時間となりました。
会場には笑い声が絶えず、「まいっか」という言葉が何度も聞こえてくる、温かな雰囲気に包まれました。

■「ちゃんとしなきゃ」からの解放
「私はちゃんとしないといけないっていうのがあったんです」と話す参加者に対し、松浦さんは「外食で済ましちゃうことも全然ありですよ」と笑顔で答えます。
松浦:洗濯物が溜まり過ぎて、松浦山脈ができてる日もあるある(笑) 山脈までないでしょ?じゃあ、まだまだですね(笑)
「(やるべきことを)次の日に持ち越すのも、元々ダメだったんですよ、私の実家では」という方もいれば、「生きてればいいかなって思うんです。子どもたちも何でも元気で生きてればいいかな」という声も。
こうした「完璧じゃなくていい」という空気感が、参加者たちの心を解きほぐしていきました。
■ 朝ごはん問題と連絡帳のストレス
「朝ごはん食べますか?」という質問に、「朝も一応準備しようっていう試みは前はあったんですけど…」と松浦さん。
実は松浦家の子どもたち、自宅ではなく牧場の休憩室にストックされている朝ごはんを、自分たちで取りに行って食べているのだそう。
松浦:ある日からみんな牛舎に行って、自分たちでパンを取って食べるようになって(笑)
この話に会場は大爆笑。「みんなで食べるってやっぱ大事よね」という言葉に、多くの参加者が頷きました。
また、保育園の連絡帳についても話題に。
「連絡帳が全然ない保育園だったから、連絡帳があるお母さんと話したときに、ちゃんと書いてるっていうのを聞いて、すごいなって思いました」
また、「寝かしつけながら寝ちゃって、朝も準備や化粧で忙しくて書けない」と正直に語り、「みんなはちゃんと書いてきてるっぽいけど、私はペンを連絡帳に入れて、車にペンは置いてた」という体験談も。
「そういう人もいるから大丈夫」というメッセージが、会場全体に広がりました。

■ 子育ての悩みとマインドの持ち方
ある参加者は、ご主人の連絡帳のエピソードを紹介。
亡くなったご主人のお母さまが書いた連絡帳には、毎日「今日は〇〇(お子様の名前)がこんなことをしてくれました。とても感謝しています」という言葉が綴られていたそうです。
「すごいなーって思って。真似はできないし、やらないですけどね(笑)」
また、別の参加者からは「子供が5人いて旦那さんが仕事をしない家庭」の話も。
しかしその奥様は「今起きてることは全て、一人では味わえないことだから、すべてに感謝」と言うのだそう。
「すごいマインドでしょ!私“すいません”と思って。自分1人がちょっと大変な気持ちでいたな、と思って」
こうした話を聞いて、多くの参加者が「いろんなお母さんがいて、愚痴ることも一つだし、感謝することも一つ。お話してみないとわからない」と実感したようでした。
■ 好きな言葉は?
会話の中で、「好きな言葉」を尋ねる場面もありました。
常住:“ありがとう”と“大好き”。この“ありがとう”と“大好き”に溢れた人生を過ごしてねっていうのを、常に思ってます。
緒方:楽しいを探そう。仕事するにも、常に楽しいを探す。
参加者:あなたはあなたのままでいい。自分らしくっていうのが、私のテーマかも。
参加者:毎晩寝る前に二人でハグをして、“大好き”を言い合って、それを一緒に眺めるっていうのがいつも大好きです。
こうした言葉の一つ一つが、参加者の心に響いていきました。
■ ママ友づくりと地域のつながり
小学校に上がる前の不安について、ある参加者はこう語りました。
参加者:保育園が小学校とは異なる地域だったので、小学校の学区にママ友がいない状態だったんです。なので、とりあえず子ども食堂に参加してみて、“小学校ってどんな感じなんですか?”、“PTAってどんな感じなんですか?”って聞いたんです。
子ども食堂には色々な地域の小学校のお母さんたちがいたので、いろいろな話を聞くことができたそうです。
参加者:漠然とした不安があったんだけど、知り合いが増えたり、悩んでることをちょっとでも吐き出せて。受け止めてくれる人がいたから、そのとき行ってよかったなと思いました。
子ども食堂との連携 ― 継続的なつながりへ

緒方さんと屋宜さんが運営する「ママのお助け食堂」は、今年で2年目。
月1回のペースで開催され、多くの家族が訪れています。
緒方:子ども食堂っていう名前にしてたら、参加しにくいと言う人もいたので、ママのお助け食堂としました。お母さんが3食のうち1食でも作らなくていい、その時間を喋ったりとか、そういう風に使えればいいかなと思って。
緒方さんは、この2年間で多くのお母さんたちの悩みを聞いてきました。
緒方:すごく悩まれてる方も多く、解決までしなくても吐き出して帰られる方とか。完璧でなきゃいけないって、一人だったらどっかで思っちゃうかもしれないですけど、何気ない話し、実はこうなんですよとか、話すって大事かなと思って。
今回の「こゆアカプラス」終了後は、希望者がそのまま子ども食堂に参加できる動線を作ることで、継続的なつながりを育む仕組みも整えました。
参加者の皆さんの感想

「同じ悩みを持つママたちと話せて、すごく気が楽になりました」
「ゲストの皆さんのリアルな体験談が参考になりました。特に『まいっか』でいいんだって思えました」
「こういう場があると、孤独じゃないんだって思えます。また参加したいです」
「申し込みをするっていうハードルはあったけど、来てよかった。話すだけでこんなに気持ちが楽になるんですね」
主催者の振り返り

企画者:常住 茜さん
今回のおはなし会は、改めて「場の力」を感じる時間になりました。
みる姉さん(松浦さん)の力の抜けたスタンスは、今のママたちにとって本当に必要で、「こんなママでもいいんだよ」と自然に自己肯定感が高まる空気をつくってくれていました。
一方、いすえさんのポジティブさはまさに異次元で、同じママでもこんなに人生を楽しんでいいんだと気づかされ、そのハッピーさが場全体に伝染していくのを感じました。
集客に関しては、正直すぐに予約が埋まると思っていた分、難しさを実感しましたが、それも含めて大きな学びとなりました。
少人数だったからこそ、お一人おひとりの表情やうなずき、反応をしっかり感じることができ、話す側も聞く側も程よいドキドキ感のある、あたたかい時間になったと思います。
子育ての中で感じる迷いや不安は誰にでもあるからこそ、「話す・聞く」場は本当に必要だと再認識しました。
新富町という小さな町で、ママたちが閉じこもらず、大人も子どもも楽しめるきっかけになるような場を、これからも形を変えながら続けていけたらと思っています。
おわりに ― 次回に向けて
「こゆアカプラス」は、「いまより自分をちょっと好きになる」を軸に、学びと交流を共有し合う場です。
今回のテーマ「子育て」は、どこか遠い話ではなく、誰もが直面しうる課題でした。
参加者の笑顔と、会場に響く笑い声が、この企画の成功を物語っています。
「ゆる~くホッとする時間」という当初の目的は、十分に達成できたのではないでしょうか。
「申し込みをするっていうのが一つのアクションとしてハードルが高いかな」という懸念もありましたが、今回こうやって来ていただけたことがすごく嬉しいです。
公園に行けばママはいるけれど、こうやって申し込みをして、来ていただけたということ自体が、一歩前に踏み出すチャレンジでした。
今後も、地域の方々とともに、必要な学びと交流の場を探求していきたいと思います。
月1回の子ども食堂も続けていきますので、ぜひ気軽にお越しください。
ご参加いただいた皆さま、ゲストの皆さま、そして協力いただいた子ども食堂チームの皆さま、本当にありがとうございました。
次回もお楽しみに!
(文、写真:有賀)

