活動レポート

活動レポート

「富」と言えば「お金」? 経済的に豊かで高価なものを所有することがステイタスであり「富」の象徴であった時代は、すでに過去のこと。
2020年11月3日に宮崎県新富町で開かれた『新富サミット』では、都市部から訪れた約40名に加えて、小嶋崇嗣 新富町長も途中から飛び入り参加。「新しい富とは?」をテーマにパネルディスカッションを行いました。
見えてきた「新しい富」とは、私たちの心の奥底にある本質的で内面的な部分にあるようです。

■開催日:2020年11月3日(火・祝)10:00〜11:30
■開催場所:新富町文化会館イベントホール
■パネリスト(敬称略):武田双雲(書道家・現代アーティスト)、川原卓巳(KonMari Media Inc.CEO)、津田佳明(ANAホールディングス)、島田由香(ユニリーバ・ジャパン)、齋藤潤一(こゆ財団)
■特別参加:小嶋崇嗣 新富町長
■モデレーター:高橋邦男(こゆ財団)

これまでの富は「お金」「所有」
目に見えるものだった

新しい富とは、いったい何でしょう。
ビジネスの第一線で活躍する5人のパネリストを迎え、会場の参加者とともにトークセッションが始まりました。
まずはこれまでの「富」を振り返りながら、「新しい富」探しへ。

古来から人類は物々交換でモノを得て、その後石の通貨が登場。やがて硬貨や紙幣に変わり、今やビットコインなど目に見えない仮想通貨が取り引きされています。スマートフォンの残高に表示された単なる数字を、私たちは当たり前にお金がそこに存在すると感じています。

人によってもお金の感じ方もさまざま。
「子どもの頃の100円と、大人になってからの100円は全く違います。お金って本当に不思議ですよね」

パネリストの武田さんは、加えてこうも話します。

「昔は『所有』しているものが富だったのかな。
ロレックス、フェラーリ、庭付き一戸建て、お手伝いさん、シャム猫…とか?笑」

「所有しているモノで他人から『評価』されていると感じていたんでしょうね」
と応えるのは、ANAの津田さん。

「他人と比較して、もっと上をと目指し続けてもキリがなくて絶望感に襲われたり…。結局、食えるかどうかギリギリのところで生きている方が精神的に幸福だったりするものですよね」
と付け加えました。

こゆ財団・齋藤も共感し、
「『Less is more』(=少ないほど豊かである)というミニマリズムの言葉があります。どれだけ削ぎ落とせるか、が非常に大事な時代ですね」
と、新しい富は「お金」や「所有」の量ではないことを後押しします。

「握ることをやめてもなくならないもの」
それが真の豊かさ・幸せ

片づけコンサルタント・近藤麻里恵さんの夫であり、こんまり®︎メソッドのプロデューサーである川原卓巳さんは、
「富とは『握ることをやめること』。手放してもなくならない部分が、真の『豊かさ』であり、『幸せ』なんですよね」
と話します。

今、金銭的に豊かな人が命を絶ってしまう時代。人類は歴史上はじめてモノを増やすことで満足できない時代に突入しました。
たくさんモノを買い身の回りに置くことで豊かになると信じられ、モノが膨張してきた大量生産・大量消費の時代。そんな頃、東京という最も豊かな場所で、“こんまり”こと近藤麻里恵さんは生まれ、片づけに興味をもったとか。そして、最も論理的でない「ときめく」という感情をその軸にすることで、最も効率的に片づけができるという結論に至ったそうです。

それは片づけの概念を超えて、
自分は今何を持つべきなのか、
何があることが自分にとって豊かなのか。
このことを人々に考えさせ、気づかせることになったのです。

片づけという観点から見た「新しい富」はここにある、と川原さんは伝えました。

マインドフルネス体験が呼び起こす
新しい感覚

飛び交う言葉の一つひとつに、深くうなずいていた島田由香さん。約3年前のこゆ財団・齋藤との出会いをきっかけに、新富町とさまざまな人や企業をつないでくれた、とても大きな存在です。
「人は思い込みによって枠にはめてしまうことがあります。私は枠にはめるんじゃなくてワクワクにしたい! ワクワクして、心が豊かになることに夢中になりましょうよ」
マインドフルネスNLP®︎トレーナーの資格を持つ島田さんのもと、参加者全員でマインドフルネス体験へ。

リラックスして、足の裏全体を床につけて…目を瞑りましょう。
背骨はまっすぐ上へ上へと伸びていて、…そう、イメージして。
イメージは現実、あなたの創造性なんです。

吐く息で、いらないものを全部吐き出して。
吸う息で、新しいエネルギーがエネルギーが身体中を巡っていきます…

やさしい島田さんの声に導かれ、それぞれが、また会場全体がまるで宇宙とつながったかのよう。

「ありのままでいいと感じることができた」
「表面は波立っていても静かな海底のよう。自分はここにあると感じた」
「懐かしい光を感じた」
「柔らかい水の流れにいる感じがした」

体験後、それぞれが感じたことをシェア。それを聞きながら、
「懐かしい光、柔らかい水…。もうこれだけで抽象アートの世界だね」
と、武田さんの中にはすでに絵が浮かんでいる様子。

不思議な、そしてとても貴重な体験により、会場はより一体感を増したようです。

いま、この瞬間に感謝!
これぞ世界を変える「新しい富」

最後にパネリストの皆さんに、「自分にとっての『新しい富』」を言葉にしてもらいました。

「『田舎』を持たない都市部の人たちが増えた。だからこそ今日のように、地方とつながり第2の故郷を持ちながら生きること」(津田さん)

 

 

 

「自分の体をどこに、誰とどんな関わりの中に置くかを選んで生きること。自分にとっては今・ここが富」(川原さん)

 

 

 

「自分にとって日本を良くするには町から変えることが必須。町長として自分の持てる力を全力で出し切ることが新しい富につながる」(小嶋町長)

 

 

 

「今日、新しい富がもうここに生まれて育ちはじめている。どんな花畑になるのか楽しみ」(武田さん)

 

 

 

「富は『つながり』。つながっていたいと思う人、思ってくれる人を思い描いて浮かぶ顔が『富』」(島田さん)

 

 

 

「この会場はじめ新富町で、いろんな人と繋がり、新しい富が増幅していると感じる」(齋藤)

 

 

ディスカッションとマインドフルネス体験を通して、「新しい富」への感度が上がった参加者たちの心に刺さる言葉の数々。豊かで貴重なこの場この時間も、新しい富の一つであったことは間違いないようです。