企業人と地域プレイヤーの共創で、ビジネスの“種”創出に挑戦@宮崎県新富町 - 地域商社こゆ財団

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企業人と地域プレイヤーの共創で、ビジネスの“種”創出に挑戦@宮崎県新富町

企業人と地域プレイヤーの共創で、ビジネスの“種”創出に挑戦@宮崎県新富町

私たちは、地元の地域資源と都市部企業のノウハウをかけ合わせた新規事業の創出に踏み出しています。そのためには、業界のプロ(企業人)に地元のリソースを実際に視察してもらい、自分たちが見落としている課題や可能性を洗い出す必要があると感じてきました。

2025年11月、新富町、ヴィアマテラス宮崎とこゆ財団の3社で、1泊2日の企業研修をモニターとして開催。今回新富町を訪れた企業人は、東京都心部を中心に140店以上の店舗をプロデュースする株式会社トランジットオペレーションサービスの小谷壮之(こだに・たけし)さんです。

企業人と地域が交わることで、どんな効果が生まれるでしょうか。

小谷壮之(こだに・たけし)さん
株式会社トランジットオペレーションサービス リゾート事業部 統括責任者。飲食部門で店舗のブランディングから運営サポートを16年。「FOLKWOOD VILLAGE 八ヶ岳」の責任者に抜擢され、企画から運営まで携わる。

なぜ企業人と共創するのか?

私たちは地域資源を活用した収益可能なビジネスを模索する中で、山梨県北杜市に2022年9月にオープンしたFOLKWOOD VILLAGE 八ヶ岳の責任者を務める小谷さんと出会い、意気投合。プロ人財にまちを見てもらいたいと、新富町に来て見ていただく機会を設けました。

まずは一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(以下「こゆ財団」)代表理事の岡本から、町とこゆ財団の概要を紹介。

歴史から経済まで新富町の特徴や課題、取り組み、またこゆ財団としてこの7年間取り組んできたこと、これからの新フェーズでやろうとしていることを説明しました。

▲こゆ財団代表理事の岡本

小谷さんからも、トランジットホールディングスの実績やご自身のキャリアを具体的にご紹介いただきました。

都心で新たな流行をいくつも生み出してきたトランジット社。彼らの特徴は、一つの成功モデルを横展開するのではなく、その場所に合わせた店舗を作ること。これまで手がけてきた約140店舗の中で、生み出されたオリジナルブランドの数は実に70以上にも及びます。

このスタンスこそが、画一的ではない地域資源の活用を模索する私たちにとって、最も共感し、学びたいポイントでした。

同社初の直営施設となったFOLKWOOD VILLAGE 八ヶ岳がまさに、場所の特性、そこにある樹木を活かしながら、自然のあり方に合わせた開発を徹底したアウトドア複合施設。地域資源の活用という新富町の方針を守りながら新しい魅力ある場所を創出していきたい私たちにとってのベンチマークです。

フィールドに足を運び、リアルを体感

新富町内にある、この土地ならではの地域資源スポットへ。自然の中で五感を研ぎ澄ませながら思考すると、脳内がどんどんと活性化されていくようです。

▲海岸線が約8kmにわたり真っ直ぐにのび、毎年アカウミガメが産卵に上陸する「富田浜」
▲松林の中にあるフリーサイトの「富田浜キャンプ場」
▲ヴィアマテラス宮崎の練習拠点となるサッカー場を整備中の「富田浜公園」

単に風景を楽しむのではなく

「この施設を黒字化させるためのキャッシュポイントはどこか?」
「競合と差別化するためのコンセプトは何か?」

といった、経営者視点での鋭い問いかけがなされ、現場で即座にビジネスシミュレーションが行われました。

▲2013年に廃校。リノベーションし、2022年より体験型宿泊施設となった「追分分校」

熱く、真剣に。地域のプレイヤーと意見交換

女子サッカークラブ「ヴィアマテラス宮崎」のゼネラルマネジャーであり、チームの運営会社「NPO法人Connecting Sports 宮崎」代表理事の柳田和洋さんとの意見交換も行いました。
同社が新富町で計画する、サッカーを核とした富田浜公園事業など事業構想の説明を受けながら、小谷さんからもこれまでのキャリアで積み重ねた経験・知見を共有。

議論は、単なる施設の利活用に留まりません。

「エリアNo.1を取りに行くためのキラーコンテンツとは何か」
「施設単体ではなく、周辺エリアを含めた面での滞在時間をどう伸ばすか」

といった、持続可能な収益モデルの構築に向けた、具体的かつ熱の入った戦略会議となりました。

▲「ヴィアマテラス宮崎」は、多くの選手たちが地域おこし協力隊として活動。まちづくりにも深く関わっている。

地域のプレイヤーがどんな状況で何を考え、どう行動するのか。そのリアルを目の当たりにしながら、これまでの経験・知見を提供する時間は、企業人にとっても生きた学びがあるようです。

新富町長と懇談。今後の課題は「プレイヤーを増やすこと」

企業研修では可能な限り、小嶋崇嗣町長との懇談の時間を設けています。
「サッカーのまちづくり」を実現するなど革新的な施策でまちの活性化を図っている、現在任期2期目の町長です。

▲写真中央・奥が小嶋町長

町の取り組みの全貌と地域のキーマンとの対話を通して、小谷さんは

「こゆ財団のけん引力によって町に活力が生まれている」
「直売所には、しっかりと商品開発されたものが並んでいる」

と評価点を伝える一方で、

「今後は町内での滞在時間を長くしていくための仕掛けづくりが必要」

という課題を投げかけました。
小嶋町長もこれからの取り組みに触れつつ、

「新富町は本気でみなさんの“夢”を応援する。まずは夢の実現のためにこの町に来て、気に入ってくれたら。そうやってこの町に住みたいと思う人を一人でも増やしていきたい」

と熱い思いを伝えていました。

たった2日でも、企業人×地域資源でビジネスの種は生まれる

▲熱い議論からリアルな事業の種が生まれた(貸切宿「茶心」にて)

今回のモニター研修では、都市部企業人に実際に地元を見てもらいながら、発展的な議論をすることができました。机上の空論ではない、リアルな事業の種がいくつも生まれました。

地域資源の魅力だけでなく、新富ならではの強みとして

「こゆ財団やヴィアマテラス宮崎のような強力な繋ぎ役(中間組織)がある」
「同じ熱量で熱く議論を交わせる地域プレイヤーがいる」

といった点が評価されたことも、大きな励みになりました。

一方で、アイデアを実践するためのプレイヤー(実行者)の確保が次のフェーズの課題であることは、町長を含めた共通認識として明確になりました。

このように私たち新富町は、地域資源とビジネス経験豊富な企業人の視点を掛け合わせ、地域ビジネスの可能性と未来を一緒に描く研修プログラム『ひなたコンパス』をご用意しています。

豊かな自然環境で心身ともにリフレッシュしつつ、地域プレイヤーと本気の共創を試みてみませんか?