活動レポート

活動レポート

起業も生き方の選択肢の一つ。誰も取り残さない社会を地域から実現〜チャレンジしやすい環境づくり〜

「起業」や「女性起業家」と聞くと、どこかハードルが高く、遠い存在に感じるかもしれません。今回ゲストに迎えたのは、移住先で独自の視点を活かしたチャレンジを続けた結果、現在26の肩書を持ちながら活動する女性起業家。そのチャレンジ事例や女性活躍への想いをお聞きしました。

自身のライフイベントに合わせ東京・群馬・茨城へ移住、生き方の選択肢の一つとして自らも起業し、さらには起業支援や子育て支援などに精力的に取り組む高橋美紀さんをゲストにお迎え。

対談相手は、「世界一チャレンジしやすいまち」をミッションに掲げる新富町へ2021年に移住し、人財育成講座の企画運営を担当する地域商社こゆ財団の有賀が務めます。

身の回りのチャレンジしたい人の声に耳を傾け、一歩を踏み出すきっかけとなる場づくりに取り組む2人の女性による初共演ー等身大の言葉で明るく、パワフルに背中を押してくれる対談は必見です!

 

■開催:2022年2月17日(木)※オンライン開催

■対談テーマ:「よそもの視点を活かした地域づくり」

■オンライン動画はコチラから(YouTubeに飛びます)

■ゲスト講師:高橋美紀氏(WD代表/KENPOKUyoga主宰/一般社団法人なでしこ未来塾/一般社団法人母親アップデートなど)

最新情報はこちら⇒https://lit.link/meee

ゲストTwitterはこちら⇒https://twitter.com/KENPOKUyoga_me

■モデレーター:有賀沙樹(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 広報イノベーション専門官)

 


まちの居心地の良さをつくるのは、日常の小さな幸せ?

共創社会と女性目線


2016年、「移住先の茨城県北地域で女性がお金を消費できる場所や娯楽が少ない」という気づきから、高橋さんが始めたのが自然環境を活かした場所にとらわれないヨガや、育児中の女性が参加しやすい、託児付きヨガ教室等を開催するKENPOKUyoga

行政や民間企業を巻き込みながら、子どもを預けて自分の時間を確保することを後ろめたく感じたり、預けられる環境が周りにないという女性が安心して参加できる仕組みつくりを、行ってきたと言います。

他にも、地域間の移動距離が長いことを活用した宿泊付きのリトリートヨガ等、一見マイナスに捉えられがちな地域の特性をプラスに捉えた活動多世代の方と交流していくうちに「地域の方々が私を受け入れてくれた」と語る高橋さん。結果、26の肩書に11枚の名刺となったその理由を、高橋さんはお節介根性だと言います。

高橋さん「『あなたの会社がめちゃくちゃ好きなんです!だからどうにか手伝わせてもらえませんか⁉︎』と自らが惚れ込んだ企業やお店へ営業に行きました」

その行動力にも驚きですが、さらにはまずは成果報酬型のお試しから始めることを提案。そして、ITを十分に活用できていない地域のスモールビジネスに着目し、SNSを使った販促活動や海外展開を視野に入れたECサイトの構築を実現。自分が既に持っているスキルと多角的な視点をかけあわせながら、熱意を持って取り組める身近な課題解決に着実に取り組んできた印象を受けました。

日常に埋もれた違和感を課題として掘り起こす、地域に欠かせないよそもの視点にはそんな役割もあるのだと気付かされます。

話を聴くうちに、高橋さんが活動拠点を置く茨城県北に思わず嫉妬してしまうこゆ財団有賀。しかし、高橋さんは世界一チャレンジしやすいまち新富町を羨ましく感じるそうです。

高橋さん「地域の魅力は最終的にはやっぱり人だと思っているんです。人財育成と同じように良いロールモデルがあったらどんどん真似をして、カスタマイズしていくことが大切。人財も奪い合いでなく、お互いが共に創りあげていく共創社会が増えることで、もっと日本各地の魅力発信に繋がっていくと思います」

市町村の区切りにとらわれず、おもしろいことに共感した人達が交わることでお互いを触発し地域がもっとおもしろくなるー新富町が位置する児湯郡近隣地域との交わりをイメージして、有賀も深く共感していました。

高橋さん「より暮らしに密着した視点を持つ女性は、日常の小さな幸せ(例えばスーパーの特売情報や、いつもオマケをしてくれるお店の存在など)を見つけやすく、その小さな幸せの連鎖がまちの居心地の良さを創るんですよね

ここに、女性目線から紐解く新しいまちづくりの可能性も感じました。


「何もない」も、武器

自信がない時こそ、成長のチャンス


有賀「自分には何もないー町で出会う多くの女性が自分に自信を持てずにいるように感じます。美紀さんはどのように背中を押していますか?」

この有賀の質問に対して高橋さんは、一言「失敗すればいい」と笑顔で言います。

高橋さん「分からなければ聞けばいいし、調べればいい。完璧じゃないといけないと思うのは創られた虚像で、男性は30%の自信でも手を挙げるが、女性は120%の自信があっても手を挙げないというそもそもの特性の違いがあるというデータがありますーだからこそ、まずは女性が手を挙げやすい環境を地域や社会全体がつくっていく必要があると思います」

自信が持てない全ての女性の心を軽くして、自己肯定できるようなやさしい言葉をくれた高橋さん。画面越しからも伝わる明るさからは想像できませんが、以前は高橋さん自身もとてもネガティブだったと言います。

有賀「ネガティブだった自分を変える、何か思考の切り替えとなる出来事があったんですか?」

高橋さん「なんでもない私だからこそ、言えることがあると思えるようになりました。起業しようと思っていた時、初めは参考になるロールモデルを探そうとしていたんです。でも、(誰かが成し遂げた正解を追い求めて)周りと自分を比較して『全然できない』と嘆くよりも、できないならできないなりにやってやろうと開き直って、どんどん人に聞くようにしました

高橋さんは自身を、「開拓移住者」とも呼んでいます。

誰も正解がわからないから言ったもん勝ち!という話題で盛り上がると、有賀も「プロになる必要や、◯◯マイスターみたいな肩書を取る必要もない。100を求められたらできないけど、今できる段階でやらせてもらっていたら、自然と次に繋がっていった感覚がある」と、新富町へ移住してからのここ1年を振り返り強く共感していました。

高橋さん「どうしたら自分が今いるこの中で、ナンバーワンじゃなくてオンリーワンになれるのか、を常に考える経験が人生のいろんな局面でありました」

周囲が求める一つの正解に向かって、得意じゃないことを必死に頑張るのではなく、自分らしく輝ける新しい土俵を探しにいく。その作業の繰り返しが、生き方が多様化する現代に置いて、いつでも自分らしく在るためのヒントになるのだと感じました。


多様な視点から見る「女性活躍」

成功者ではないからこそ、必要なサポート


中小企業のアドバイザーとしても活動する高橋さん。その役割を、組織のリーダーや経営層の視点と、実際に働く女性の視点とのずれを可視化することだと話します。

これまでは、ベビーシッターや家事代行などは一部の人が利用していた時代でした。しかし、これからは女性が自己を犠牲にすることなく、働きやすい環境を整える必要があります。果たして誰が整え、またケアしていくのかー。だれひとり取り残さない社会の実現に向けて声をあげ、行動していくことがこれからの地域に求められるのだと感じました。

高橋さん「結婚や出産などのライフイベントを機に、家族や社会的な理由による選択が増える女性は、自分の人生を振り返る時間がないんですよね」

このことは、こゆみらいの学校(※注1)に参加してくれた女性が参加理由として有賀に話したという、「母でもなく、妻でもなく、自分だけの時間が貴重」という想いにも繋がりました。(※注1)子育てママ世代を中心に女性活躍推進を目指し、各界で活躍する人材を迎えた全5回講座を開講。講座の詳細や2022年度開催に関する最新情報はこちら!

高橋さん「だからこそ、女性が自分のために時間を使える『託児付き(の学び場)』が必要なんです。経験をしてきた私だからこそ言えることがあるように、同じ女性でも何を見ているのかが違います。たくさんの視点や意見がある、それこそがダイバーシティです。当事者である私たち女性が、もっと(企業や組織の)決定層に(自分たちも生まれながらの)成功者ではない、だからこそ(女性へのサポートが)必要だよね』ということを伝えていきたいと思っています」

有賀「今まで『起業』に対してハードルがすごく高かったけど、起業も生き方の選択肢の一つ、手段であると思えました」

 

新富町では昨年2021年、有機米のおにぎり専門店「おにぎり宮本」が新しくオープンしました。農業一筋43年、60歳を超えて初めて飲食店をオープンさせた有機JAS米農家・宮本恒一郎さんのチャレンジは、まさに起業は生き方の選択肢であることを感じさせます。

高橋さん「起業こそ失敗の価値がある。多くの人がもっとチャレンジできる。選択肢とタイミングは人それぞれだけど、(何事も)知っているのと知らないのとでは大きな差が出るからこそ、アウトプットだけでなく自分らしい栄養補給の仕方でインプットすることを多くの女性に絶対にしてほしいと思います。その人だからこそ見える目線があるので、絶対にどの人にも、あなたにしかできないことがあるんです

イベント冒頭、高橋さんは「完璧でない私を見てもらいながら『次はあなたの番だよ』と伝えると同時に、(チャレンジする女性の)育成もしています」と話していました。

既に様々な経験をしてきた人や、色々な方が集まるコミュニティを頼ることも一つの選択肢です。そこで得た経験を還元しながら、等身大の言葉で背中を押してくれる2人の女性による対談でした。イベントの全容が気になる方はYouTubeに動画を保存しておりますのでぜひ、全編を通じてご覧ください。

最後に、こゆ財団では2022年度開催予定の起業家育成講座こゆみらいの学校に関する情報を随時公式Facebook等にて更新していきます。最新情報を見逃したくない方は、ぜひフォローをよろしくお願いいたします。

また、「世界一チャレンジしやすいまち」で一緒にチャレンジしたい仲間として、新富町の地域おこし協力隊も絶賛募集中です。気になる方はぜひ、お気軽に私たち地域商社こゆ財団までご連絡ください。地域おこし協力隊に関するお問い合わせは、こちらまで!ご応募お待ちしております。

written by Mami Higuchi