学生も社会人も、地域においでよ!宮崎大学の実践授業を新富町で受け入れました
学生と企業人がチームを組み、地域の現場から課題と可能性を探る。
宮崎大学の授業「地域プロジェクト実践演習」が、新富町で実施されました。
地域の農業者の協力のもと行われた、2日間の実践型プログラムの様子を紹介します。
私たちこゆ財団は、企業や学生など多様な人と連携し、新富町をフィールドに学びや共創の場をつくっています。
それは、私たちのまち・新富町で生き生きと輝く魅力的な人たちを外の人にも知ってほしいから。外の人と町との交流が生まれることで、お互いにとって新たな魅力や価値の再発見につながったり、課題解決の糸口が見つかったりするからです。
2026年2月12日・13日の2日間、宮崎大学による「地域プロジェクト実践演習」が新富町で開催され、こゆ財団は、地域の農業者との調整やフィールドプログラムの設計など、受け入れ・運営に協力しました。
当日は、宮崎大学の学生4名と企業人4名、計8名が参加。学生と企業人が同じチームとなって地域の現場に入り、地域の魅力や課題を捉えながらアイデアを生み出す実践型の学びです。
その取り組みのユニークさに、地元メディアも密着取材。どのような共創の場となったのでしょうか。
地域の現場から学ぶプログラムがスタート
本プログラムの設計者は、宮崎大学の特別講師・中山隆さん。
かつてはこゆ財団の教育イノベーション推進専門官。新富町については地域資源も人材もよくご存知でいらっしゃいます。

今回のプログラムでは、学生と社会人がチームを組み、それぞれの知識や経験を持ち寄りながら地域の課題や魅力を捉え、新しいアイデアを考えていきます。
「学生も社会人も、自分の強みや専門性をまずはしっかりと表現して、一緒に何かつくっていくことを考えてください」
新しいものは、ゼロから生み出すだけでなく、すでにある「何か」と「何か」を掛け合わせることでも生まれるのだと、中山さんは参加者に伝えました。
まずは自己紹介を通じて、参加者それぞれの専門性や関心を共有。
「自分は何を持っているのか」「チームの中でどんな役割を担えるのか」を考えるところから、2日間の学びがスタートしました。

学びを深めるために。農業経営をゲームで疑似体験
2日間の主軸となるのは、新富町の基幹産業である「農業」です。
まず最初に、農業経営をテーマにしたゲーム型ワークショップを実施。
このゲームは、『産地デザインゲーム~SHINTMIの宝を発信せよ~』と題して、新富町の実際の農業をテーマに、ゲーム会社協力のもとでこゆ財団が制作したものです。

短時間のゲームではありますが、農業経営が、売上だけでなく突発的なリスクや環境負荷など、様々な要素の影響を受けながら成り立っていることを体感しました。
ゲームを通して農業の構造を理解したうえで、参加者はいよいよ地域の現場へ向かいます。

ゲームの制作裏話 → コチラ
フィールドで、現場のリアルに触れる
体験フィールドとしてご協力いただいたのは、町内の3つの農家さんです。
有機栽培、酪農、施設園芸と、それぞれ異なる農業の現場を訪問しました。
畑や牧場を見学しながら、日々の仕事や経営の工夫、直面している課題などを直接聞く参加者たち。
現場での対話を通じて、地域産業のリアルに触れる時間となりました。
グループ① オーガニックファームZERO(有機米・有機ニンジン栽培)
まずは、巨大な精米機を前に、有機栽培による米づくりについてお話を伺いました。
農薬や化学肥料に頼らない栽培方法や、日々の管理の工夫など、こだわりの米づくりについて学びました。

その後、有機ニンジンが育つ畑を訪問。
有機栽培の魅力や難しさ、人手不足といった課題についてもヒアリングし、参加者たちは畑の様子を見ながら理解を深めていました。

グループ② 松浦牧場(牛乳生産/加工販売/牧場体験)
牧場では牛舎を見学しながら、乳牛の飼育や搾乳の仕事についてお話を伺いました。
普段なかなか知ることのない酪農の現場に、参加者たちは熱心に耳を傾けていました。

また、牧場で作られている牛乳についても紹介していただき、牛乳がどのように生産され、私たちのもとに届くのかを学びました。

グループ③ イノマタキューカンヴァ(施設キュウリ栽培)
「まずはハウスを自由に見てきて。食べてもいいよ!」と猪俣さん。
メンバーは、初めて入るビニールハウスとキュウリに興味津々で、収穫前のキュウリの様子を間近で観察しました。

ハウスを出ると、作業場のホワイトボードには猪俣さんからの問題が。
想像したり推測したりしながらそれぞれが答えを書き込み、答え合わせではたくさんの驚きと気づきが生まれていました。

インプットを整理し、2日目に備える
ゲームの効果もあったのでしょうか。農家さんの魅力と同時にたくさんの課題点を持ち帰った参加者たち。今日の収穫が、明日のワークショップの大切な素材となります。
メンバーで共有し合いながら情報を整理して、1日目の学習は終了しました。

1日目の夜は宿泊場所の「追分分校」で懇親会。地元の野菜を使った彩り豊かな料理を楽しみながら、学生、社会人、地域の人が立場を超えて語り合い、交流を深めました。

チームビルディングで思考と連携を鍛える
ともに迎える、清々しい朝。
2日目は、芝生のグラウンドを使ってのアクティブなチームビルディングからスタートです。
指揮するのは、新富町を拠点に活動する女子サッカークラブ「ヴィアマテラス宮崎」を運営するNPO法人Connecting Sports宮崎の野上康太郎さん。

単に体を使ったゲームを楽しんでいる…のではありません。
成功させるにはどんな声かけが必要だろう?
失敗したら、何を改善して次にどう活かす?
誰がどう動いた?じゃあ、自分はどうする?

「そんな思考の積み重ねでチーム力が上がり、トラブル発生時も臨機応変な対応ができるようになります。うちのチームでも、組織の力を最大限発揮できるよう日頃からトレーニングをしています」と野上さん。

なでしこリーグ1部優勝を成し遂げたチームのトレーナーから直々に、チームビルディングを体験させていただきました。会社・組織でもやってみる価値・効果がありそうです!
「SDGsカード」でアイデア発送をトレーニング
さて、午後からいよいよワークショップが始まります。これまで見聞きした情報や自分の強みのかけ算をすることで、これまでになかったアイデアを生み出します。

まずはそのトレーニングとして、SDGsカードゲームが登場。トレードオフカードで提示された課題に対して、ランダムに配られたリソースカードで解決アイデアを生み出します。
「こじつけや無理やり感があってもいいです。そうすることでアイデアが生まれることが大切です」と講師の中山さん。
これは、新しい発想を生み出すことを目的とした「アイデア思考」の考え方。一見つながらないランダムな手法を一旦受け入れて、かけ合わせてみます。そこで、アイデアをひとまず言葉にしてアウトプットしてみることが大事なのだとか。

フィールドワークをもとにアイデアを創出
そして最後は、いよいよ本プログラムの本丸となるアイデアづくりに挑戦します。
1日目に訪問した農家さんの魅力や価値、特徴と、チームメンバーそれぞれの魅力や特徴を掛け合わせながら、新しい取り組みのアイデアを考えます。

「できるだけたくさん描く」ことに注力し、グループ内で発表。そして、グループ内で選んだアイデアを全体に向けて発表しました。

それぞれが真剣に取り組み、生まれたアイデアの数々。それはすぐに解決につながるものでなくても構わない。試行錯誤に時間をかけることこそが、課題解決につながるのだと中山さんが言葉を添えました。

それぞれが思考を重ね、想像力を発揮しながら生み出したアイデアに対して、惜しみない拍手が贈られました。
地域を舞台にした学びの可能性
宮崎大学の授業「地域プロジェクト実践演習」として行われた今回の2日間。
学生と社会人がチームを組み、地域の現場から課題と可能性を探る実践型の学びとなりました。
その場所に新富町を選んでいただいたことを、私たちはうれしく思います。
今回の研修に伴走したこゆ財団としては、「産地デザインゲーム」という地域発のコンテンツを実践できたこと、そして参加者が農家さんの現場により深く入り込み、具体的な問いを投げかける姿を見られたことが大きな成果でした。
新富町というフィールドには、農業やスポーツ、地域活動など、学びや共創の種が数多く眠っています。
大学や企業、行政など、多様な主体とともに地域を舞台にした実践型プログラムにこれからも取り組んでいきたいと考えています。
地域とともに学びをつくる場にご関心のある方は、ぜひ一度新富町へお越しください。


