自分の生き方を自分で決める。働き方改革をリードする「WAA」のルーツとは?:島田由香さん

全国的に、働き方が見直されて各企業が思考を凝らす中、注目されているのが「WAA」の存在だ。

※「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)
https://www.unilever.co.jp/sustainable-living/waa/team-waa/
誰もがいきいきと自分らしく働き、豊かな人生を送れるような「新しい働き方」に共感し、実現していこうとする企業・団体・個人のネットワーク。

Dove(ダヴ)やLipton(リプトン)、LUX(ラックス)などを手がけるユニリーバ・ジャパンは、WAAのビジョンに共感してくださる方でつくるコミュニティ「Team WAA!」を、2016年7月にスタートさせた。

同社では、WAAの導入で社員の生産性が30%アップしたほか、70%の社員が「ポジティブに毎日を過ごしている」、33%の社員が「より幸せになった」と感じているという。労働時間も10〜15%減少している。

そんなWAAを導入した同社取締役 人事総務部本部長の島田由香さんが2018年11月17日(土)に新富町を訪れた。島田さんが思い描く「WAA」のあり方とは。

※聞き手:地域商社「こゆ財団」代表 齋藤潤一

齋藤:由香さんの記事や動画を全部見ていて、「WAA」のことは僕なりに理解しているつもりですが、根源的な部分で、時間と場所に捉われずに働くことで、「もっとみんながワクワクしながら生きて良い」と思うようになった、その根っこにある実体験は何ですか?

島田:いくつかあるのだけど、1つは中学2年の頃にあったいじめの経験かな。
それまで仲の良かった友達から急にそんなことをされて、私自身何がなんだかわからなかったから、とにかく「ごめんね」と謝り続けていたんです。

でもあるとき、ふと急に私の中で稲妻が落ちるように、「なんで悪くないのに謝ってるんだろう?」ってハッとして、その瞬間に「私が私でいて何が悪い?私はもっと私でいい。もっと私らしく生きよう」って思ったんです。

同時に万人に好かれる人なんていない。人から言われることなんてバズ(buzz/騒音)だと。でも、私が尊敬してる人とか好きな人からの言葉や苦言はしっかり聞こうと。

そう決めた瞬間から私の態度がガラッと変わり、周りの友達も変わってきて、向こうから謝ってくれたってことがありました。自分の生きたいように生きる、という自分が確立したのかな。

2つ目は最初の上司。毎朝、通勤の時に乗る満員電車は、本当に「何これ?」って思う状況で、私はそれを避けて働いていました。無駄に疲れるし、気分が悪くなるし、意味がないから。

社会人になった時の最初の上司は、そんな私の考え方を受け入れてくれて、どこで何をしているをきちんと伝え、結果を出していればどこで働いてもいいと言ってくれていたんです。それが、「WAA」ができたきっかけかもしれませんね。

話せば会社は分かってくれるんだっていうのと同時に、希望は表明しない限り得られないものだと言うこと。

でも、日本人は当たり前のように満員電車に乗り続けていて、そのことが本当に信じられない。だって仕方がないってみんな疑いもしない。いまだにあの通勤ラッシュが大好きって人に会ったためしがない。

自分がワクワクすることをした方がアイディアもいっぱい出るし、当たり前になってしまっている無駄なことっていっぱいあると思います。私たちは、もっと常識を疑った方が良いと思う。

齋藤:そうですね。
そういえば以前、由香さんの講座を聞いていたとき、「もっと自分を大切にしてください」って伝えていたのが印象深かったです。そうした実体験から、日本人にもっと自分のことを大切にしてほしいと思うようになったのですか?

島田:それでいうと海外での経験が大きいかな。
大学の夏に、気持ちがドン底に落ちるような体験があって。

でも、すでに以前からニューヨークに行く予定を組んでしまっていたので、落ち込んだ状態のままマンハッタンへ。その時に見た光景がすごく衝撃的だったんです。

駐車場の係の人も、街の清掃夫も、みんな笑顔。自分の仕事に自信を持って「これが私、これが私の仕事!」と言わんばかりに働いていたのが美しく輝いて見えたし、その時初めて、自分の中で「働くってなんだろう?」って思いました。そして「日本の働き方ってなんなの?」って思ったのを鮮明に覚えています。

齋藤:なるほど。
ぼくもいま、シンガポールで経験したことを思い出しました。シンガポールは貧富の差が激しい街なんですが、タクシーの運転手に「貧富の差はこれで良いの?」って聞いたことがあったんです。

そうしたら、「もちろん!だって自分が選んでタクシーの運転手をやっているから。この後サッカー観戦にも行くし、週末は家族でご飯を食べに行くし、土日も休むし最高だよ!」っていわれたんですね。すごく覚えています。選択する自由があると良いなって。

由香さんの話を言い換えると、おそらく「WAA」でいいたいもう1つのことは「常識を疑おう」ってことなのかもしれませんね。

島田:まさにそう!
みんな満員電車って当たり前って思ってるけど、全く当たり前じゃない。

特に日本の社会で生きていると、どうしてこんなに枠にはまってるんだろうって感じることが多い。
人や物事を無意識に枠にはめて考えるし、自分自身も枠にはまってる。だから『枠じゃなくてワクワクを考えよう!』っていつも叫んでいます。

私は、「それって何のためにやってるの?」「それって本当?」という2つの問いかけに答えられる人が組織にどれだけいるかで、今後の組織が大きく変わると思っています。

人生は、「好きか」「嫌いか」「やるか」「やらないか」という、4つの掛け合わせだけで決まるものだと思っています。

だから、好きなことをやるだけ。逆に好きなことでもやらない場合もあるけど、自分でやらないと決めていることがカギ。

「WAA」をやることで、いつどこで働くかを自分が決めることが、達成意欲や自己効力感を高めることになり、結果的にパフォーマンスにつながります。自分で決めるってことのパワフルさや生き方、働き方を見直すきっかけになってくれたらいいなぁ。

齋藤:それで言うと、自分を大切にすることと、常識を疑うことによって、自分で決めるという要素が強くなりますね。

だから、おそらく「WAA」って、物理的に時間と場所に捉われず働くってことではなくて、心の持ち方を伝えてるんだろうな。

島田:そう!制度じゃないの!

齋藤:そのような考え方を、これからの若い世代にも継承していきたいですね。

自分を大切にすること、常識を疑うこと、自分で決めること。
新しい働き方というのは、制度ではなく、心の持ち方であるということ。
「WAA」が示すそうした働き方は、ワクワクしながら生きるうえで欠かせないマインドであることに気づかされる。

         
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