宮崎県新富町で、2017年4月に設立された地域商社「一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(略称:こゆ財団)」。
新富町役場職員で、こゆ財団の発起人でもある執行役員の岡本啓二さんは、公務員として町が抱えている問題を解決するため、何か行動しなければならないと考えていた。そこでとった行動は、役場から独立した財団を立ち上げ、ふるさと納税の金額を上げること。
設立前から今に至るまでの想いや、これからのビジョンについて岡本さんに伺った。
仲間がいない孤独感
役場職員だった岡本さんが財団を立ち上げ、ふるさと納税の金額目標を達成すると明言したときのことについて岡本さんは、
当時、ふるさと納税の売り上げが2000万円程度。
それを1億まで上げると明言し、財団設立の話を進めました。
しかし、役場職員というのは、企業の設立や、お金の稼ぎ方など、ビジネスに関する知識や経験がありません。もちろん私も。そんな中、チャレンジしたいと手を挙げた私に賛同する人は、ほとんどいませんでした。というより、何をするのかイメージが湧かなかったと思うのです。
私自身、未経験で何も分からない状態でしたが、一人で企画書を作り、ビジネスモデルを考え、どんどん疲弊していきました。
大きかった仲間の存在
ふるさと納税で1億円という目標を立てた岡本さん。
具体的にどう動いたら良いのか分からないからと言っても立ち止まることなく動き続けた結果、東京でふるさと納税のイベントで公演をした時に、現代表理事の齋藤さんと出会い、仲間を増やしていった。それからのことについて岡本さんは、
1人でやってきた私にとって、仲間の存在は大きかったです。相談する相手もいないし、最初の1年くらいは本当に成功するのかと不安で眠れない夜が続きました。
だけど、今は相談できる仲間もいるし、1人で抱え込むことが減ってきました。
失敗しても良いんだ
町役場の職員として失敗してはいけないと肩に力が入っていた岡本さん。心境の変化について、
自分で言ったことには責任を持ちたいという気持ちも強かったし、役場職員や町民の方々の目線もすごく気にしてたんです。
「絶対に失敗は許されない」そんな時に、周囲からかけられた言葉が、「失敗しても良いんだよ。必ず成功するビジネスなんてないんだから。」
その言葉を聞いて一気に肩の力が抜けました。ビジネスに関してはド素人の役場職員が、いきなり成功するって改めて考えるとすごいことですよね。失敗して責任を取る必要があるなら、辞めて自分で新しいビジネスをしても良いんじゃないかと考えだすと楽になったし、それまでの不安が一気になくなりました。もちろん、一度自分で言ったからには責任を持ってやり抜きますけどね。
やりたいことが実現するまち
これからのこゆ財団のあり方について岡本さんは、
これまでは、ふるさと納税に力を入れてきましたが、それにこだわる必要もないと考えています。商店街のシャッターもどんどん開いてきましたし、移住者も増えてきました。こゆ財団は、チャレンジしたい人をサポートしていく団体だと思うので、時代の流れに合わせてどんどん進化する必要があると思います。
たくさんの起業家と触れ合う中で、自分自身も何かチャレンジしてみたいという衝動にもかられているので、ビジネスモデルを構築し、近い将来実現したいと考えています。私自身もチャレンジャーであり続ける必要があると思いますので。
1人の公務員が声を上げ、仲間を募り成長してきたこゆ財団。チャレンジしたい気持ちがあるのなら、職種も経歴も関係ない。まずは、身近なチャレンジとして、宮崎県新富町のチャレンジフィールドへ足を運んでみてほしい。