活動レポート

活動レポート

企業×地域=無限の可能性を探る、というコンセプトのもと今年からスタートした「こゆチャレンジ大学(略してこゆチャレ)」。

第9回目はゲストに一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構の黒木啓介氏を招聘。南魚沼に住む人、住もうと思う人の、未来のしごとづくりと豊かな暮らしを応援している、一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構

ホスト役は「世界一チャレンジしやすいまち」をビジョンに掲げ、企業連携や人財育成の企画・運営を通じて関係人口創出に取り組む、地域商社こゆ財団。

北と南でそれぞれ地域活性化に取り組む2社による、オンライントークセッションを実現。現役金融マンとして地方創生に取り組む黒木氏をゲスト迎え「稼げるまちづくりの仕掛け」をテーマに、継続的な可能性について考えました。

■開催:2021年12月13日(月) オンライン開催

■対談テーマ:「稼げるまちづくりの仕掛け」

■オンライン動画はコチラから(You Tubeページに飛びます)

■ゲスト講師: 黒木啓介氏(一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構 アドバイザー

■対談相手:高橋邦男(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 執行理事)

■モデレーター:有賀沙樹(一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 広報イノベーション専門官)


よそ者を受け入れ

できない理由ではなくできる方法を考える南魚沼市職員


人口6万人弱、豪雪地帯で有名な新潟県南魚沼市。新潟県中越地方に位置しており、平成の大合併により南魚沼郡の3町が合併して誕生した言わずと知れた米どころです。

日照時間年間一位の宮崎県とは全く異なる雪景色が広がる雪国。ここに場所は違えど同じ地方創生に取り組む一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構があります。

ゲストのアドバイザー黒木さんは延岡市のご出身。証券会社入社後、投資銀行部門で不動産ファンドの増資や合併、政府系機関の社債引き受け、海外拠点の経営企画、海外現地法人での社長補佐、日系上場企業のIRなどをご担当されたのち、現在は会社の自己資金を使ったファンド投資、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のサポートなどをされています。

南魚沼市とは国際大学大学院へのMBA留学をきっかけにご縁ができ、2021年より一般社団法人南魚沼市まちづくり推進機構のアドバイザーに就任。証券会社に勤めながら、南魚沼市への移住促進や課題解決に取り組んでいらっしゃいます。


避けては通れない人口減少

いま、打つべき次なる施策とは


南魚沼市はふるさと納税でも人気の返礼品だというお米、そしてスキー場もありウィンタースポーツが盛んであることから観光地としても外貨を稼いで基盤を作っていると言います。

一方で担い手の高齢化は否めず、5万5千人の人口が年間600人減少、うち半数は県外に出た若者が戻ってこないことが直結していると言います。黒木さんからは対策として2つのキーワードが出てきました。

・ベンチャー企業の育成

・関係人口の増加

町の規模としては遥かに新富町よりも南魚沼市の方が規模が大きいのですが(新富町の人口は約1万6千500人)、移住定住施策という段階から雇用創出、さらにはゆるい関係を創出する(関係人口の創出)という視点になっている、という点では共通するものがありました。

「必ず移住してくださいではない、関係人口を増やすことで個人のマーケットも広がる」という言葉は、昨年宮崎県新富町に移住して仕事の幅が格段に増えた筆者としても声を大にして伝えたいところです。


地域課題解決から

社会課題解決のストーリーを想像する


新富町でも自動収穫ロボットの開発に取り組むアグリストというベンチャー企業が誕生し、エンジニア雇用を中心に新しい人材の流用、関係人口の創出が生まれています。2023年完成を目指して実証実験用の農地整備も始まっており、まさにこれからアグリテックを中心に町を盛り上げたい新富町。

現役金融マンとして、様々な国でたくさんの業界や企業に関り、現在はファンドを通じて多くのベンチャー企業を見ている黒木さんからは、「なぜそこなのか、なぜそれをやるのか」が非常に重要になってくる、という言葉が出てきました。

まずは目の前の課題を解決をするためにラボのすぐそばに実証実験用の農地があるという状態は納得感が高い、とその有効性を認めた上で、その後どんなスケールの未来を描くことができているかも非常に大切である、と黒木さんは言います。

例えばアグリストの場合はまずはピーマンの自動収穫を解決すべき課題としていますが、その後その技術が他の作物にも転用できるのか、国外の地でも展開できるのか、そもそも国外でも同じ課題を抱いている場所があるのか、さらには収穫に必要な画像認識の技術は町内における別の分野の課題解決にどう繋がるのか-

黒木さんと高橋のやり取りを見守る中で、目の前の課題だけに囚われずに未来を見据えて、どこまで視座を高く、視野を広く展開を想像することができるかが大切なのだと感じました。


唯一無二のエッジが効いた事例を

地方から世界へ


「世界一チャレンジしやすいまち」をビジョンに掲げスタートしたこゆ財団ですが、高橋曰く嬉しいことに今では商工会、役場、町など、あらゆるところで「チャレンジ」を耳にする機会が増えたと言います。

これまで伝統を重んじて歴史を紡いで繋いでくれた先輩たちに感謝と敬意を示しつつも、守破離の精神で新しい風も入れていくという話で共感する黒木さんと高橋。

髙橋「黒木さんにとって南魚沼のまちづくり推進機構で活動することはどんな意味があるんですか?」

黒木さん「『おかえり』と言ってくれる仲間や、そんな仲間がたくさんいる町に惚れたから、というのもありますが、もう一つはこの活動が日本そのものの変革に通じると思ったからですね」

市内にある国際大学への留学を機に南魚沼市とのご縁がスタートした黒木さん。企業の変革を通じて日本の変革に関わりたいという想いでキャリアを積み重ねていた中、「地域活性」の延長線上にもまた、「日本の変革」が見えたと言います。

これを受け、高橋から以前JICAから受けた新富町の視察話が出ました。当時、台湾地域で日本の地方都市と同様の課題を抱えていた事例がありJICAからこゆ財団への視察が実現。この時、「国は違えど社会課題は共通している」ということを実感したと言います。

世界的に見ても課題先進国である日本。だからこそ、いまの取り組みが世界のモデルケースになる可能性が高いという話は頭では分かっていても、リアルに現場の声として聞くと解像度が一気に上がります。

また、黒木さんの母校でもある国際大学の様に、常に世界50カ国以上から学生が集まり、将来国のリーダーとなる人々を輩出している学びの場が地域にあることもまた、地域にとって貴重なリソースである、という可能性にも盛り上がりました。

「ちなみに国際大学は日本ではあまり知名度が高くはありませんが、英Economist誌では日本でNo.1のMBAと評される、1982年に設立された日本最古の大学院大学です。設立来授業は全て英語で、政府関係機関や中央銀行等からの派遣留学生で構成される300名程度の学生は基本的に皆同じ寮で生活を共にします。141カ国の国・地域出身の卒業生の中には、グローバル企業の経営者や県知事、事務次官、国連大使等もいて、実はとってもグローバルな名門校でもあるんです」

さすが若手卒業生ながら国際大学OBOG会副会長も務める黒木さん、ここできっちり宣伝を織り込んできました(笑)

一方で優秀な学生が国内外から大学に集まってきていても、地域の人と関わる機会をあまり創出できていない大学の現状は非常に勿体ないとも言います。前例のない課題に取り組み未来を思い描くためにも、世界に例のない唯一無二のエッジを持たせるためにも、国境や地方や都市など関係なく、一緒に組みたい人と組むことが一番と同意した2人。

南魚沼市や新富町などの地域でのチャレンジ事例を元に、「日本の改革」を実現する-そんな私たちの取り組みをぜひ楽しみにしていただき、一緒にワクワクしたいという方はぜひご連絡いただければと思います!

こゆ財団では絶賛地域おこし協力隊を募集中です。ホームページでも情報を発信しており、協力隊募集イベントも定期的に行っていますのでお気軽にご連絡ください。

written by Saki Ariga